新型コロナウイルスの感染拡大に伴う航空減便の影響で物流が停滞している問題の対策として、航空各社は1日から、貨物輸送に対応した臨時便や増便、機材の大型化を実施する。大型連休中、日本航空(JAL)は貨物臨時便を12便運航し、全日本空輸(ANA)は機材を大型化して航空コンテナの搭載量を増やす。日本トランスオーシャン航空(JTA)は大型連休明けに石垣島など県内離島で増便する。貨物代理店や農業団体からの要請を受けた措置となる。
新型コロナの影響を受けた大幅な減便や、那覇空港を拠点としたANAの国際貨物ハブ事業の運休により、陸上輸送による代替手段がない沖縄では、県外に送る輸送量が大きく制限されている。チルド・冷凍ゆうパックの引き受け停止や宅配荷物の配送遅れ、農産物や水産物の流通にも支障を来している。
JALは5月1日から4日にかけて、羽田―那覇と伊丹―那覇を往復する貨物臨時便を計12便運航する。ヤマト運輸などの貨物代理店から要請を受けて運航に至った。乗客は乗せず、旅客機の貨物スペースのみを使用する。
ANAは5月1、2、4、5日に、1日1便、旅客機を大型化する。通常の機材はコンテナを28台搭載できるが、大型化することで36台まで増やして運ぶことができる。貨物臨時便の運航も調整しているという。大型連休明け以降も関係団体から要望があれば、臨時便などを前向きに検討するという。
JTAは那覇と県内離島をつなぐ便で増便を検討する。連休明けに出荷最盛期を迎えるパインの輸送増加が予想されることから、石垣島を含む県内離島で増便する予定だ。担当者は「経済的な便益を損なわないためにも、公共交通機関として急務の物資は運ばないといけない」と話した。
乗客を乗せず貨物輸送だけでは運航の採算が合わない場合もある。農水産物の臨時輸送の費用は、県の「流通不利性解消事業」を活用する案も持ち上がっている。
(石井恵理菜)