【記者解説】沖縄県緊急事態延長、出口戦略を意識 追加支援なく課題も


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沖縄県庁

 玉城デニー知事は緊急事態宣言延長の発表と共に、県の専門家会議が提案した県民の社会経済活動再開に向けたロードマップ(行程表)を示した。感染拡大を抑え、医療体制を維持するために県立中部病院感染症内科の高山義浩医師が提示した案をそのまま採用した格好だが、県民の外出自粛や事業者の休業が続く中、具体的な目安を示すことで、県民活動再開の「出口」を意識した。

 一方、「県経済のV字回復に向けた出口戦略の検討もしっかり進める」としたものの、遊興・遊技施設などへの休業要請延長に対する協力金の追加支給はなく、国の財源の裏付けがなくては支援策が打ち出せない限界も露呈した。

 全国からの来県自粛要請や県民の外出自粛、医療体制拡充の効果が見え始め、5月に入って県内の新規患者数はゼロが続く。玉城知事は第2波、第3波の感染拡大に懸念を示しつつ、「持続可能な感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を目指そう」と県民一人一人の感染予防策の徹底を強く訴えた。

 ロードマップが示した「段階的な活動再開」「活動再開」に向け、「入院患者数10万人当たり1人未満」などクリアすべきハードルは高い。だが、県民が日常生活を取り戻すため、「新しい生活様式」をどう定着させていけばいいか指針が示されたことには希望も持てる。

 県は今後、緊急事態宣言中も必要がなくなった際には休業要請措置などを解除するとしている。今後、指標を用いながらより一層の迅速な政策決定が必要とされる。
 (座波幸代)