【単眼複眼】知事「2週間は絶対必要」 2案を検討、緊急事態宣言延長 支給上乗せ財源なし


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 政府が緊急事態宣言を31日まで延長したことを受け、玉城デニー知事は5日、県独自の緊急事態宣言を31日まで延長すると発表した。事業者への休業要請は20日まで延長するが、事業者への協力金の追加は示さなかった。専門家会議から提示されたロードマップを念頭に、県全体の活動再開に向けた「出口戦略」を検討していく考えも示した。感染拡大防止の取り組みを保ちつつ、社会経済活動も段階的に再開させていく。医療と経済のはざまで、難しい判断を迫られそうだ。

 県が事業者への休業要請期間を20日までに延長したのは、ゴールデンウイーク期間中に約8千人の来県見込みがあったことが大きい。感染者がいなかった2月20日からの1カ月間で警戒が緩まり、県外からの移入例による感染が広まった反省を踏まえ、大型連休の終了から2週間の経過観察期間を置く形で延長方針が定まった。

 政府が新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言を延長するという報道が出たことを受けて、玉城デニー知事は1日、県幹部にあらゆるシチュエーションを想定するように指示を出した。

 政府が延長を正式に決定する4日までに、県庁内では休業要請の解除時期について、政府と同様の「5月末まで」とするか、「2週間」とするかの2案で検討されていた。

 5月に入って県内で新規の感染者が確認されていないことから「このままゼロが続くかもしれない」(県幹部)との期待もあった。県経済への影響がさらに長引くことを考慮し、休業要請の延長を2週間にして状況を見ることにした。

 県幹部の中には、休業要請をもっと早期に解除することを容認する意見もあった。だが、玉城知事は経済への深刻な打撃に懸念を示しつつも、「潜伏期間を疫学的に考えると、2週間は絶対に必要だと思った」と強調した。

 ただ、県の緊急事態措置の延長で、新たな経済対策について具体的な対策は示されなかった。

 県は4月から休業要請に応じている事業者に20万円の「協力金」を支給するが、今回の2週間の休業延長分について協力金の上乗せはない。県幹部は「上乗せをやっているのは財源がある東京都くらいで、他の自治体では難しい。県がこれまで示した県独自の支援策を一日でも早く進めることに全力を尽くしている」と理解を求めた。

 また、玉城知事は緊急事態措置の延長を発表した5日の会見で、県の有識者会議が策定した「活動再開へのロードマップ」について「方向性をしっかり順守していきたい」と強調した。だが、その後に県幹部から、休業要請との兼ね合いについて「ロードマップと完全にリンクしているわけではない」との説明があり、足並みがそろわないように映る場面もあった。

 ステイホーム週間と位置付けた大型連休が明け、社会経済活動の再開と感染拡大防止の両立を目指す重大な局面に入る。施策のさじ加減を誤ると感染拡大の再来につながりかねないだけに、県の対応が注目される。
 (梅田正覚、明真南斗)