新型コロナウイルス感染拡大防止を巡る県の緊急事態宣言延長や休業要請解除などを巡り、判断基準の曖昧さや自粛の在り方について、県民に対する県の説明不足が指摘されている。玉城デニー知事が11日に記者会見で発表した休業要請解除に関する資料から、県民に対する「不要不急の外出自粛要請」の文言が消えていた。これについて県は、5日の時点で「不要不急」ではなく「外出の際は3密を徹底的に回避」という表現に切り替わっていたと説明した。
休業要請解除を判断する際の指標についても、5日時点の説明と新たな指標を取り入れた11日の説明に食い違いが見られるなど、県民や事業者の行動を制限したり、緩和したりする政策判断の整合性が問われている。
■いつの間にか変更
県が6日までの緊急事態宣言に伴う具体的な措置を発表した4月22日。実施方針の資料には、県民に対し「不要不急な外出は必ず控えてもらう」と記されていた。だが緊急事態宣言延長を発表した5月5日に更新された同資料は「外出する場合は『三つの密』を徹底的に避ける」という表現に変わっていたが、記者団に対し変更について詳しい説明はなかった。
12日の会見で大城玲子保健医療部長は「『不要不急』という言葉が分かりにくいと県民の意見があったため、分かりやすいように『3密の回避』に表現を変えた」と説明。行動制限の内容の違いは明らかにせず「実施方針の変更は本来なら説明すべきだった」と述べた。
その上で、休業要請の解除が始まる14日から、県民に対して県外や離島への渡航、「3密」が避けられない場合を除いて外出自粛緩和になるとの考えを示した。
■制限基準はこれから
社会・経済活動を再開させていくため、一部の遊興施設を除き14日から解除する休業要請について解除の判断の目安にしたのが、県の専門家会議がロードマップ(行程表)で示した3指標に加え、新たに県が独自に設けた4指標だ。玉城知事は、これらを「総合的に判断」したと説明した。
新たな指標は(1)PCR検査陽性率(直近1週間の陽性率が7%以下)(2)重症化率(直近1週間20%以下)(3)重症者の病床使用率(30%以下)(4)病床使用率(40%以下)―の四つ。県内は5月に入って新規感染者ゼロが続き、4指標は11日までに目標値を達成した。
一方、専門家会議が示した3指標のうち、新規患者数と感染経路不明の患者数の二つはクリアしたが、人口10万人当たりの入院患者数1人未満の指標はまだ達成していない。
玉城デニー知事は当初、大型連休後の移入例の発生を懸念し、疫学的に20日までの警戒が必要と繰り返していた。しかし県幹部は「疫学的な指標は尊重すべきだが、これを前提にすると5月31日を過ぎてもクリアできない可能性がある」と、経済活動再開に踏み切った理由を説明する。
一方、再流行した場合、活動制限や休業要請に踏み切る判断の指標はまだ設けていない。完全な封じ込めより感染状況を見ながら社会活動を再開したり、絞ったりしていく「ウィズコロナ」の在り方について、県として県民にどう方向を示していくか。その指標や基準についての説明が一層求められている。
(座波幸代)