〈46〉COPD(慢性閉塞性肺疾患) 喫煙が原因、併存症も


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 COPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患)は、たばこ煙などを主とする有害物質を長期に吸入することで生じた、いわゆる肺の生活習慣病であり、喫煙を習慣とする40歳以上の中高年に発症します。調査では日本の人口の8・6%、約530万人の患者が存在し死亡原因の9位に位置するとされていますが、大多数が未治療の状態であるとされており、さらに2019年におけるCOPDの認知率は、27・8%に止まっています。

 労作時の息切れ、呼吸困難や慢性のせきやたんが主な症状です。最大の原因は喫煙であり、喫煙者の15~20%が20年以上の喫煙後に発症します。COPDのうち全体の10%程度は非喫煙者でも受動喫煙、副流煙、大気汚染、粉じん暴露などの原因により発症します。たばこ煙を吸入することで肺の中の気管支に炎症が起き気管支が細くなることや、肺胞(はいほう)の破壊による酸素の取り込みや二酸化炭素の排出機能が低下し呼吸困難が起こります。このような肺の変化は治療でも元に戻りません。

 診断には呼吸機能検査が重要です。気道が閉塞し空気の流れが低下する状態(閉塞性障害)を確認することが目安になります。胸部エックス線写真やCT検査も有用です。またCOPDは全身の炎症、骨格筋の機能障害、栄養障害、骨粗しょう症、循環器疾患などの併存症を伴う全身性の疾患です。肺以外の症状が重症度にも影響を及ぼすことから、全身も含めた病状の評価や治療が必要になります。加齢による呼吸機能低下も加わるため、高齢者では重篤(じゅうとく)となるため、症状の悪化に注意が必要です。

 治療は主に長時間気管支を拡張する吸入抗コリン薬や吸入β2刺激薬が使用されます。長時間作用性β2刺激薬と吸入用ステロイドの配合薬も有用であることが証明されています。気管支ぜんそく合併の場合、悪化しやすく、新薬である吸入ステロイド薬、吸入抗コリン薬、吸入β2刺激薬の3剤配合吸入薬も用いられます。発症予防のためには禁煙、増悪をさけるためには、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチン接種などの感染予防が推奨されます。

(久手堅憲史、くばがわメディカルクリニック 呼吸器内科)