伊江島補助飛行場(伊江村)で進む改修工事は、米海兵隊が目指す、飛行場の機能強化の一環だ。伊江島補助飛行場は元々、米軍の「自由度」が高い上に、海兵隊が新たな作戦構想に向けた訓練場所として重視する姿勢を強めている。改修工事で施設の機能が高まれば、米軍にとって、より「使い勝手の良い」訓練場と化す。
陸地へのパラシュート降下や重量物投下など他の施設では認められないような訓練も、日米両政府は伊江島補助飛行場で行うことにしている。日本側が調査員やカメラを配置している米軍普天間飛行場や米軍嘉手納基地と比べると監視の目も少ない。
沖縄国際大の野添文彬准教授は「伊江島が海兵隊にとってますます重要になっている」と指摘する。海兵隊が新たな作戦構想として離島を占拠し給油や攻撃の臨時拠点をつくる「EABO(遠征前方基地作戦)」を試行しているためだ。
海兵隊は対中国戦略で自身の存在意義を強調するため力を入れており、EABO関連の訓練を伊江島で実施してきた。2018年末には強襲揚陸艦の甲板を模した離着陸施設を拡張し、最新鋭戦闘機F35Bの訓練も始めた。
今回の工事について沖縄防衛局は「既存施設の補修」と説明するが、運用能力が向上することは間違いない。米軍自身がウェブサイトで能力の向上が目的だと明示している。訓練が激しくなれば、伊江村をはじめ県全体の基地負担が増す。
(明真南斗)