「おむつを買うお金もない」支援求める電話も 子どもの居場所の今 


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 新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や休校・休園の長期化で家庭の負担が大きくなる中、子どもたちへの食事提供や学習支援を行う県内の「子どもの居場所」が、家庭を訪ねて食事支援を始めている。配布する弁当は飲食店から買い取るときもあれば、無償提供してもらうときもある。5月上旬、那覇市内にある子どもの居場所2カ所を記者が訪ねた。

菓子パンなどが入った袋を受け取り感謝の手紙を渡す児童(右)=2日、那覇市内

 あけぼのほのぼの会代表の玉寄文代さん(65)は3月上旬から週2回ほど、市内の約20世帯に弁当や食料品などを届ける。支援を受ける家庭は多子世帯が多く、休校で食費や光熱費が重くのしかかっているという。「子どもの居場所に通っていても住所がわからず支援が届かない子もいる。どうしているのか心配だ」。支援を受ける30代の女性は乳児から10代まで10人の子どもを育てている。「給食がないので3食作るのは大変だ。食料品の支援は少しでもありがたい」と語り、弁当やお菓子、生卵を受け取った。

 那覇市松尾2丁目自治会の與儀長次さん(54)は、運営する子どもの居場所を現在、休止しているが、毎日市内の家庭に弁当や食料品を配っている。多いときは1人で50世帯ほど配達を担う。「子どものおむつを買うお金もない」。與儀さんに緊迫した声で支援を求める電話が掛かってくる。新型コロナの影響で仕事が無くなり、支援を受ける人も増えた。「子どもの居場所はおなかを満たすだけでなく、親や先生以外の大人と関わる場でもある。外に出られなくて子どもたちもストレスを抱えているだろう」と案じた。

 2カ所の子どもの居場所はともに、大量の弁当や食料品の仕分けと配達を1人で行う。自身も仕事をしながら配達に長時間を費やす。子どもの居場所に対する行政からの助成金を活用しているが、配達する食料品の蓄えも少なくなってきた。

 與儀さんは「学校が始まれば子どもの居場所を再開したい。食料品の配布も継続したいので、助成金だけでやっていくのは厳しい。企業などの協力がもう少しあれば」と望んだ。玉寄さんは自治会で弁当を作って子どもたちに取りに来てもらう取り組みを始めた。「少しでも多くの子どもに支援を届けたい」と力を込めた。

(青山香歩)