【記者解説】見通せぬ「来県自粛解除」 求められる長期ビジョン 県の緊急事態宣言解除


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 県が新型コロナウイルス感染拡大防止のために発令していた独自の緊急事態宣言を解除し、新たな基本方針と経済対策案を発表したことは、コロナと共存する新たな日常が県内でも始まったことを意味する。今月に入り県内では新たな感染者は確認されていないことから県は社会経済活動の「自粛」局面から再開へかじを切った。感染拡大の回避と経済活動を両立させる試みは、企業、県民全体の協力は不可欠で正念場を迎える。

 県は県民への行動制限を緩和し「3密」を避けるなどの「新たな生活様式」の実践を求めている。新たな日常が始まった一方、県が求めた来県自粛要請の解除時期はまだ見通せない。大打撃を受けた県経済の回復は不透明感が漂う。今後、新たな試みの成否をどう判断するかが問われる。

 コロナの感染拡大は沖縄の方向性にも影響を与える。玉城デニー知事は15日の会見で、県が策定を目指す、2022年度からの新たな沖縄振興計画に、持続可能な感染拡大防止と経済活動維持の両立の在り方を含める考えを示した。次期振計にコロナ対策を盛り込む方針だ。今回の教訓を、沖縄の針路にどう生かすか、長期的ビジョンも求められている。
 (梅田正覚)