半分ずつ登校、自作でついたて…学校再開「3密対策」に苦心 教室の狭さもネック


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飛沫拡散防止のため保健室に設置されたビニールシートのついたて。枠組みは学校職員が制作した=18日、沖縄市泡瀬の県立美里工業高校

 21日からの沖縄県立高校再開を前に、各校は新型コロナウイルス感染症の予防のための準備を進めている。分散登校や飛沫拡散防止のビニールシート設置など、工夫を凝らした対策に取り組む。一方、授業では3密回避が難しい場面も想定される。県教委は生徒や教職員に感染者が出れば再休校とする方針を示しており、授業時数の確保も危ぶまれる中、学校現場は神経をとがらせている。

 沖縄市にある県立美里工業高校は対話中の飛沫(ひまつ)拡散を防ぐため、透明なビニールシートを使ったついたてを進路指導室や保健室、図書館などに設置した。設備工業科や機械科の教員らが学校の資材を活用して制作し、各部屋に合うサイズに仕上げた。喜屋武勝校長は「工業高ならではの取り組みだ」と語った。図書館への入室は人数を制限するなどの対策も施す。

 文部科学省は再開に向けた予防策を示し、このうち発熱した生徒を別室で待機させるよう求めた。喜屋武校長は悩む。「待機させる部屋の確保が難しい。校内にテントを立てることも考えている」

 調理科の実習でも頭を抱える。文科省は調理実習を「リスクの高い学習活動」の事例に挙げ、当面は実施しないことを求めたが、高校の専門科の場合、実習を行えないと単位習得や資格取得ができない。喜屋武校長は「どうするか考えている最中だ」と苦慮する。

 県立高校は21~31日の期間、午前と午後に分けてクラスの半分ずつが登校する「分散登校」を実施する。密集を避けるためだが、文科省から示された生徒間の距離「1~2メートル」を確保するのも教室の広さによって困難に直面する。

 県立具志川高校の教員らは12日、養護教諭を交えて生徒の座席の距離を確認した。「左右の距離は取れるが斜めの距離が近い」と、入念なチェックを繰り返した。

 県高等学校長協会会長で、具志川高校の冨里一公校長は「バスなどの公共交通で通学する生徒もいるので、学校内だけの対策をしても完璧とは言えない。夏場はクーラーを使うが、密閉を避けて窓を開けるとなれば、暑さ対策に不安を覚える」と課題が山積していると説明した。「富山県では学校でクラスターが発生した可能性が指摘されている。各学校長は緊張感を持っている」と話した。
 (稲福政俊)