国際

【島人の目】ウチナー魂 感じた一夜

 今年2月の沖縄への帰省。県庁前から熱き同志らとバスに乗り新基地建設反対の声を上げに名護市辺野古へ。車中は毎回知識豊かな人たちのユーモアを交えた興味深い話が聞け、勉強になり楽しい一時である。

 今回、話下手の私にもお鉢が回ってきた。とっさに浮かんだ翁長雄志前知事の印象に残った話をした。県知事一行がワシントンDCに陳情に来ると、地元県人会は交流夕食会を県人会主催でするか否かで、もめるのが常だ。

 会員の多くは米国人の夫がかつて沖縄の基地に勤務した経験がある。「米軍が命をかけて沖縄の平和を守っている。基地に反対する知事一行を歓迎するのは難しい」など、異口同音に発せられる。沖縄会において基地問題は複雑な感情が交差するデリケートな事柄だと実感する。

 翁長氏を囲む夕食会は結局、沖縄会主催ではなく有志での参加になった。当時、翁長氏の基地に対する発言が地元メディアに載り、県人会のメンバーにそれを不愉快に思う人たちがいて出席者は少ないだろうと予想された。だが、当日はその心配をよそに多くの会員たちが集まり、会場は満席となった。

 翁長氏はあいさつで、グアムの免税店で働くたくましい沖縄女性のエピソードなどを紹介し、そのウイットに富んだスピーチは会場を笑いの渦に巻き込んだ。会は終始和やかな雰囲気で進み、カチャシーで締めくくり大盛況に終えた。

 政治や基地の話は一切しなかった翁長氏の機転を利かした心配りに感動した。翁長氏の「イデオロギーよりアイデンティティー」のスローガンが県人会のメンバーたちの一挙一動にも現れ、ウチナーンチュの絆を感じるウチナー魂にあふれた一夜になった。

(鈴木多美子、バージニア通信員)



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