PFOSなど暫定指針値1リットル当たり50ナノグラム 国会合で測定義務化の要望も


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川の途中で滞留する米軍普天間飛行場から流れ出た泡消火剤=4月11日、宜野湾市の宇地泊川(ジャン松元撮影)

【東京】河川や地下水におけるPFOSなどの有機フッ素化合物の目標値について議論する環境省の中央環境審議会水環境部会は26日、会合を開き、指針値(暫定)としてPFOSとPFOAを合わせて1リットル当たり50ナノグラムとすることを決めた。国や各都道府県が物質のモニタリングに努める「要監視項目」に位置付けを引き上げることも決めた。委員からは米軍普天間飛行場で泡消火剤が漏出し、周辺で高濃度のPFOSなどが検出されたことに触れ、自治体による測定が義務付けられる「水質環境基準健康項目」に引き上げることを求める声も上がった。

委員は「要監視項目に設定されても住民の不安が解消されるわけではない」と指摘した。指針値は今後、環境相への答申などを経て自治体に通知される。

指針値については合意されたものの、委員からは沖縄の基地周辺で指針値を超えている場所があることに触れ懸念の声が複数上がった。委員の一人は、普天間基地からの泡消火剤漏出が確認されたことを踏まえ、住民の不安を払拭(ふっしょく)する観点から「水質環境基準健康項目」への引き上げを検討するよう要望した。

別の委員からは、指針値を大きく超える場所があることを示すよう求める声や、「モニタリングに努める」ことにとどまる要監視項目では自治体の検査姿勢にムラが出るのではないかとの懸念も出た。

環境省は「要監視項目に指定して終わりとならないよう対応を検討する」と話した。

環境省が実施したパブリックコメント(意見公募)では、指針値に関して15件の意見が寄せられた。多くが指針値をより厳しくすることなどを求めたり、法的拘束力のない指針値の実効性を疑問視したりする声があった。

環境省は、厚生労働省が水道水の目標値を定めるに当たり参考にした米環境保護庁の耐容1日摂取量(毎日摂取しても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量)である体重1キロ当たり20ナノグラムを毒性評価の値に採用した。PFOSとPFOAは健康への影響が類似していることや、同時に検出される傾向があることから、合計値を暫定目標値とした。