〈47〉糖尿病と感染症 免疫力低下で重症化


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 糖尿病は感染症にかかりやすい病気です。ぼうこう炎、腎盂(じんう)腎炎、肺炎、胆のう炎、歯周病、結核、白癬(はくせん)症などです。感染症になりやすい主な原因は、高血糖による免疫力低下と血流障害です。

 免疫は細菌やウイルスを防御する働きのことで、白血球の働きが中心です。白血球の中で好中球は直接細菌などを食べて処理する大事な働きをします。高血糖状態では好中球の働きが低下します。リンパ球の抗体産生も障害されます。

 糖尿病で感染が起こると、血糖が悪化し、感染がさらに悪化する悪循環になります。また糖尿病患者では全身の動脈硬化と高血糖状態により血液の流れが悪くなります。末梢(まっしょう)組織で血流が悪くなると、白血球がウイルスや細菌を攻撃できなくなるだけでなく、血液内の栄養や酸素、薬剤の移行も不十分になります。

 新型コロナウイルスは高齢の糖尿病の方が重症になるようです。新型コロナウイルスは肺炎だけでなく、血管の障害や血液の固まり(血栓)ができやすくなります。糖尿病患者ではさらに血栓ができやすくなります。血栓ができると、呼吸状態が急激に悪化し、心臓や腎臓も悪くなります。

 高齢の糖尿病患者がウイルスや細菌感染を避けるには良好な血糖コントロールや規則正しい生活リズムが大事です。

 その他として(1)薬の服用、インスリン注射を正しく行う(2)感染の流行時は院内感染予防のため長期処方とする(3)睡眠を十分に取る(4)身体や口腔(こうこう)内を清潔に保つ(5)ウオーキングなど有酸素運動で体温を上げ免疫力を高め、スクワットなどで筋力低下を予防する(6)炭水化物の取りすぎに注意し、タンパク質も十分摂取する(7)野菜、キノコ、海草類など食物繊維やビタミン豊富な食材を摂取する(8)免疫力を高める納豆などの発酵食品を摂取する(9)インフルエンザや肺炎球菌ワクチン接種―などです。人混みを避ける、マスク着用、手洗い、うがいなどは周知の通りです。

(長田光司、ながた内科クリニック糖尿病 内科)