沖縄県中央卸売市場で競り人2人が不正取引を行い7年間で1億2700万円を受け取った問題で、市場で販売取引の業務を担う沖縄協同青果(山城隆則社長)は29日、浦添市の県中央卸売市場会議室で会見した。山城社長は「生産者、市場関係者、各方面に多大な迷惑と心配をお掛けした」と謝罪した。既に懲戒解雇した競り人は営業部門の次長と課長で、管理職だった。同社は第三者委員会を設置し、原因究明と再発防止に取り組む。
同社は2019年1月に沖縄国税事務所による税務調査があったことで、競り人に給与以外の収入があると報告を受けた。発覚から発表までに時間を要したことについて、名嘉清常務は「税務調査や取引の中身の調査に時間を要した」と説明した。
2人の競り人は一度販売した青果物を再販売して取引を不正に成立させたり、架空の取引をするなどして利益を得ていた。卸売市場法などは公正な取引を守る観点から、市場での再販売を禁じている。
不正取引では競り人と仲卸業者が結託して、業者が保管している商品を市場で再販売するなどしていた。長期にわたって不正取引があったことについて、名嘉常務は「職員(競り人)と仲買人の付き合いが長く、(不正取引の)話を持っていきやすかった。越権行為につながった」と指摘。「競り人と仲卸業者になれ合いが生じていた」と繰り返した。
現場で伝票と現物・在庫の確認が徹底されていなかったことも、不正を防げなかった原因に挙げた。同社は今後、全取引で在庫確認をすることや、定期的に競り人の配置換えを行うことで再発防止を図るとした。
同社は不正取引を発見できず管理監督が不十分だったとし、役員の報酬を3カ月減額する。
一方で、競り人が受け取っていた1億2700万円について同社は「被害報告がなく、被害者を特定できない」などとした。競り人を刑事告発することもないとしている。仲卸業者の処分については市場運営を担う県が行うとしている。
不正取引によって適正価格で取引されたか生産農家から不安の声が上がっているとの報道陣からの指摘に対して、山城社長は「要望があれば農家に説明を行う。信頼回復に努めたい」と話した。