【東京】新型コロナウイルス感染症により航空便が大幅減便された影響で、沖縄県産の農林水産物の県外出荷が滞った事態に対処するため、県は30日までに、県外に出荷する農水産物の輸送費の一部を補助する「流通条件不利性解消事業」で、臨時貨物便を想定した措置を設けた。花卉(かき)や水産物では1キロ当たり80円、それ以外では同60円となっていた従来の補助単価を、臨時便の場合はともに230円とする。5月1日から始まっている臨時便運行分にさかのぼって適用する。
内閣府は29日、本年度の沖縄振興特別推進交付金(ソフト交付金)の変更交付決定を発表し、臨時便の単価設定の新設を認めた。
不利性解消事業は他県と陸路で結ばれている隣県の鹿児島までの輸送コスト相当分を補助する。従来の単価設定は混載を前提としており、農水産物だけを輸送する臨時便を確保するに当たり、輸送コストが高くなる分の補助額の拡充を求める声があった。
変更により本年度の事業費のうち国費負担額は、当初予算比3600万円減の19億2400万円となった。5月分の臨時便の補助費として約1億8千万円を見込んだ一方、4、5月の定期便減便に伴う出荷量減少分として約2億2千万円の減額を織り込んだ。
今回の予算措置は5月分のみを対象とした。6月以降は定期便の運行が徐々に回復してくることが見込まれる一方、他の産物でも補助のニーズが生じる可能性もあり、慎重に検討するとみられる。
内閣府が29日発表したソフト交付金の変更交付決定ではこのほか、離島住民の船賃や航空賃の一部を補助する「沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業」など3事業が、新型コロナに伴う移動自粛で人の移動が減った影響で減額した。
一方、「コロナ後」の社会や生活様式の変化を見据え、離島地域でテレワークを行う人を育成する「離島ICT利活用促進事業」など3事業は増額を決めた。
全体の交付決定額は、4月1日時点の交付決定額から3億2千万円の減額となった。