沖縄出身学生へ「古里の味」 高知沖縄県人会が弁当で提供


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「ちばりよー弁当」を沖縄出身学生に手渡す桃原泰輝さん(左)=5月26日、高知市(高知沖縄県人会提供)

 新型コロナウイルスの影響で苦境に立つ高知県在住の沖縄県出身学生に対し、物心両面での支援の動きが広がっている。高知沖縄県人会は5月1日から、米や豚の缶詰などを学生らに配布。さらに26日から毎週火曜日、高知市内の沖縄料理店の協力で、ジューシーやニンジンシリシリなど「古里の味」が詰まった弁当を無料で届けている。学生からは「とてもありがたい」「頑張ってコロナを乗り切ろうと思えた」など感謝の声が上がっている。

 高知沖縄県人会によると、高知県内には約50人の沖縄県出身学生がいる。4月下旬、学生沖縄県人会(36人)に新型コロナウイルスの影響を聞いたところ、バイト先が休業になった学生が8人いた。高知沖縄県人会は会員に寄付を募り、「スパム」「チューリップ」といった豚の缶詰や米計180キロを購入。沖縄出身の大学生や専門学校生に配った。

 高知大4年の城間広大さん(24)=南城市出身=は「バイト先の居酒屋が3月後半から休業になって、カップ麺を具材にチャーハンを作って節約していた。食料の提供はありがたかった」と話す。

 5月下旬からは弁当の提供も始めた。「ちばりよー弁当」と名付け、県人会会員の沖縄料理店「ハブとマングース」(高知市)が用意。初回はジューシーやシークヮーサー風味の塩唐揚げ、魚のフライなど、古里の味をボリュームたっぷりに詰め込んだ。

 学生沖縄県人会会長で高知大3年の桃原泰輝さん(21)=名護市出身=が学生13人の元に届けると、「やった、ジューシーだ」など喜びの声が上がったという。桃原さん自身も「実家と同じような沖縄の味で、むちゃくちゃうれしかった。自粛生活でストレスがたまっていたけど、皆さんの優しさで楽になれた」と笑顔を見せた。

 弁当の提供は週1回で、6月末まで続ける予定。高知沖縄県人会の岡村啓佐(けいすけ)副会長(69)=高知市=は「コロナの影響で親からの仕送りもなくなり、慣れない土地で不安な学生もいると思う。何とか頼りになれれば」と話している。