情報公開「濫用」なら開示拒否 沖縄市が条例改正案 知る権利制限の恐れ


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 【沖縄】沖縄市は市の情報公開に関して、利用者に社会通念上、適性な権利行使と認めることができない請求があった場合に、権利の「濫用(らんよう)」として公開を拒否できる条文を盛り込んだ条例改正案を、市議会6月定例会に提案する予定だ。近年は一部の市民による請求の増加が顕著になり、市の業務に支障を来すことが問題となっているという。一方で、市民の「知る権利」の制限や後退を危惧する声もある。

 改正案では「何人も、公文書の公開を請求する権利を濫用してはならない」と新たに定めた。権利の濫用に対して実施機関は「請求を拒否することができる」と明文化する。濫用の判断基準は「制度の趣旨目的を逸脱したものや、公開請求で得た情報を違法・不当に使用する蓋然(がいぜん)性が認められるとき」などとしている。

 市は3日、市情報公開と個人情報保護に関する審議会(会長・高良富夫沖縄職業能力開発大学校校長)を開き、委員に条例改正の必要性や、改正後に見込める効果を説明した。

 条文に請求拒否を明記することについて、委員から「時代に逆行するのでは」「市民には知る権利が制限されるような印象を与えかねない」など、意見が上がった。

 市の担当者は「改正案はあくまで濫用的な行使を抑止するもので、市民の権利はこれまで通り最大限に保障する」と断言する。濫用に当たるかの是非を検証する検討委員会を庁内に新たに設置するという。

 情報公開請求する側の権利濫用に触れる条例を設けているのは、県内では那覇市だけ。沖縄市は9月1日の施行を目指す。