新型コロナウイルス感染症の影響を受け、本島北部のリゾートホテルで客室清掃を担う74人の従業員が、休業手当の未払いで雇い止めに近い状態が続いているとして、雇用主に当たる東京の派遣会社に説明を求める嘆願書を提出していたことが4日、分かった。
ある従業員には4月10日頃、派遣会社から「仕事がある時に連絡する」と電話があった。4、5月の休業手当はなかった。5月に受けた電話は仕事の件ではなく、個人面談の連絡だった。面談で「休業手当はないが、6月以降も籍は保留できる」と説明を受け、退職の強要はなかったという。この従業員は以前に雇用保険や社会保険の加入を会社側に求めたが断られたといい、最新の雇用契約書の控えは、派遣会社が管理しているという。
派遣会社の担当者は本紙の取材に対し、休業手当の未払いを認めたが、「雇用契約でシフト勤務の場合、勤務日以外は休みになるからだ」と未払いの理由を説明。4月以降、感染症の影響で勤務シフトを作成できておらず、「休業手当を払うのは難しい」と述べた。また、雇用調整助成金は申請中で「手続きが煩雑で、支給がいつになるか分からない」とした。社としては「従業員を守る方針だ」と述べ、「従業員とは納得するまで話し合いをしていきたい」と説明した。
沖縄労働局監督課は労働基準法に基づき、事業主の都合で休業した場合は、全ての労働者に平均賃金の6割以上を休業手当として支払う義務があるとして、「非正規だから支払わなくていいわけではない」と指摘した。
連合沖縄と県労連によると、同じ派遣会社は県内の複数のホテルに人材を派遣しているといい、「実際に被害を受けている人はさらに多い」とみている。