若い世代の疑問反映 県議選ボートマッチ「りゅうVOTE」 琉球新報×琉球大学  識者「結果は参考の一つに」


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
ボートマッチ「りゅうVOTE」の製作を監修した左から琉球大学工学部の宮田龍太助教、大学院1年の杉浦伊織さん、大学院2年の北島栄司さん=27日、西原町の琉球大学

 補選を除くと、18歳選挙権が施行されて初となる今回の県議選。若い世代の関心を高めようと、琉球新報と琉球大学が共同で取り組むボートマッチアプリ「りゅうVOTE」の質問には、県内の学生から上がった質問や、大学生を対象にした過去の企画から関心が高かった項目も取り入れている。

 3月に琉大工学部と教育学部、人文社会学部の学生たちと本紙記者が意見交換をした。教育学部の仲宗根慎太さん(22)からは「地域間の教育格差が大きい」との指摘があった。「無料塾は中南部に多く、理系の教員が不足している」。そのほか「モノレールとバスの乗り継ぎが悪い。バスの乗車を増やすにはモノレールとの連携が必要では」。「大学まで延伸してほしい」など公共交通への意見も複数上がった。ブラックバイトの経験がある学生は、政策以前に「そもそも候補者が若者のアルバイトの現状をどのくらい把握しているか知りたい」と疑問を投げ掛けた。

 さまざまな学生の意見の中から、アルバイトや教育関連の問題など若者にできるだけ身近な課題を中心に質問に盛り込んだ。
 アプリの制作には琉球大学工学エネルギー環境工学コースの宮田龍太助教の研究室の大学院生も携わった。大学院1年の杉浦伊織さん、2年の北島栄司さんが修正と検証を何度も繰り返して完成にこぎつけた。

結果は「参考の一つに」

 ボートマッチとは、候補者と同じ質問に答えることで、候補者と利用者の回答がどの程度似ているかが数値化されて分かる仕組み。スマートフォンからも手軽にアクセスできる点で識者は「若者と選挙をつなぐツールになる」と期待を込める。

 琉球大学の久保慶明准教授(政治学)は「スマホからも手軽にアクセスでき、若者と選挙をつなぐツールとなる。多くの離島がある沖縄では、地理的に隔てられた有権者と候補者をつなぐツールにもなる」と効果を示した。その上で「(ボートマッチの結果だけに)依存せず、利用した感想を身近でシェアして」と話した。

 東京工業大の西田亮介准教授(社会学)は「実際の選挙ではさまざまな争点があり、どこを重視するか自由度が高い一方、選択が複雑な面もある。投票離れを招く一因でもあるが、どの主張に似ているかを示すことで、情報を整理し選択しやすい状況を作り出す」と説明した。一方、利用者が能動的に回答することで、元々の考え方だけで判断してしまう側面も指摘し、投票の際にはボートマッチ以外の情報にも触れながら冷静な判断が必要だとした。

▶りゅうVOTEをやってみる