小規模離島の得票で差、出身重複で明暗 複数自治体5選挙区の開票結果を分析<県議選・結果分析>2


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 7日に投開票された第13回県議会議員選挙で、複数の自治体で構成される那覇市・南部離島区、島尻・南城市区、宮古島市区、国頭郡区、中頭郡区の5選挙区内の開票結果を分析した。 

【中頭郡区】地元固め北中城で競合

 中頭郡区は各候補者が地元で支持を手堅くまとめた一方で、立候補者のいない北中城村で与党系候補者が票を取り合った。

 2議席奪取を狙う野党・自民は、現職の中川京貴と、推薦する新人の仲松勤を擁立し、東側と西側地域をすみ分ける戦略を取ったが、仲松の支持が浸透しなかった。

 選挙区の西側地域は、地元出身の現職が首長や議員の協力を得て支持を固めた。与党系候補の仲宗根悟と瑞慶覧功は競合しない嘉手納で票を分け合った。自民の中川は保守票を積み上げた。

 北中城村では、新垣邦男村長や村議の支援を受ける与党系の新垣光栄と上里善清がそれぞれ得票を伸ばした。隣接する北谷町から出馬した瑞慶覧功も街宣活動を展開し、一定程度の支持を得た。

 新人3人が競合した西原町は、上里善清が新里米吉の後継候補として支持を固めたほか、新垣光栄も豊富な運動量で積み上げに成功した。新人の仲松勤と与那嶺義雄は及ばなかった。

 

【宮古島市区】市民票、結果に直結

 宮古島市と多良間村で構成される宮古島市区では、2議席を巡って3人が争った。

 選挙戦では人口の大多数を占める宮古島市での得票数がそのまま選挙結果に反映されたが、宮古島市と多良間村では得票順位が違っていた。

 宮古島市での最多得票は下地康教で、国仲昌二、座喜味一幸と続いたが、多良間村では下地康教、座喜味一幸、国仲昌二の順だった。

 

【国頭郡区】出身重複 得票分かれ

 国頭郡区は本部町出身の候補2人、金武町出身の候補2人の計4人で2議席を争った。与野党構成に変化はなかったが、野党の現職が落選した。

 与党現職の平良昭一が地元の本部町と今帰仁村で票を固めた。同じ本部町出身で野党現職の具志堅透に本部で512票差、隣接する今帰仁で1199票差を付け、結果的にこの票差が勝敗を左右した。

 金武・宜野座・恩納の票は金武町出身で野党新人の仲里全孝に集中した。同じ金武町出身で与党元職の吉田勝広も同じ3町村で票を集めたが、仲里に一歩届かなかった。

 自民公認の具志堅は、国頭・東だけでなく、伊江・伊平屋・伊是名の離島3村の票を集めたが、本部・今帰仁で広がった票差を埋められなかった。結果的に最下位となり、自民推薦の仲里にも及ばなかった。

 吉田は特定の地域からではなく、幅広く票を集めたが、当選した仲里に222票差を付けられた。

 

【那覇市・南部離島区】小規模離島の票で差

 有権者数が最も多い那覇市・南部離島区は市町村ごとに得票傾向に違いが見られるが、大票田の那覇市のみで1万7497票を獲得した翁長雄治が2位以下を大きく引き離してトップ当選した。那覇市の獲得票によって、おおむね当選順位が決まっている。

 一方、最下位の11位で当選した仲村家治と次点の山川典二の差はわずか42票で、小規模離島の市町村の票が勝敗を分けた。那覇市で仲村は5198票だったのに対し、山川は5288票で、山川が上回っていた。しかし、久米島で仲村が117票を獲得して山川に43票の差をつけた。他の小規模離島の多くで仲村が上回り、最終1議席に滑り込んだ。選挙区内で那覇市に次いで有権者数の多い久米島町は、新人の喜友名智子が最も多い470票を獲得。次いで上原章が403票、當間盛夫が356票と続いた。

 

【島尻・南城市区】地元基軸に運動展開

 南城市、与那原町、南風原町、八重瀬町の4市町にまたがる島尻・南城市区では、各候補が地元を中心に支持をまとめる選挙戦を展開した。

 南城市では、座波一と大城憲幸が票を伸ばした。特に座波は、自身が獲得した票の約57%を南城市で獲得した。大城も得票の半数を南城市で得た。

 候補者別の得票では最下位となった大城民夫も南城では善戦し、3200票近くを得た。

 与那原町は地元の大城一馬が他を圧倒し、出馬した6候補で最多得票だった。町議をまとめた座波が次に続いたが、他の候補は1000票以上得られなかった。

 八重瀬は地元の石原朝子と玉城武光が票を伸ばした。特に石原は5200票余を得た。  大票田の南風原は、各陣営が拮抗(きっこう)し、5人が2000票以上を獲得した。