出馬に衝撃が走った人物、鍵になったある市長の動き…<記者座談会>(上)選挙戦の舞台裏


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
集まった有権者の前で街頭演説する候補者=5月30日午後、本島南部

 任期満了に伴う第13回県議会議員選挙は7日に投開票され、県政与党が25議席を獲得し、過半数を維持した。ただ、与党は現職4人が落選し議席を減らすなど「薄氷の勝利」となった。選挙結果の見方や今後の政局への影響などについて、本紙取材班の記者が座談会を開いた。

 【宜野湾市区】
 E 自民党県連は保守の2議席獲得を狙っていたが地元の自民系市議の動きは鈍かったようだ。
 B 呉屋宏氏に流れた企業票を奪う構図となり、宜野湾の自民関係者からは「呉屋氏が通ると困る」と露骨に話す人もいた。
 C 呉屋氏が勝ち抜いたのは、公明の支援が大きかった。表面化していなかったが、呉屋氏が自身の親戚企業の票を、沖縄市の金城勉氏の支援に回した。それが公明の支援を得やすい土壌になった。

 【豊見城市区】
 A 山川泰博氏の出馬は、与党内で衝撃が走った。那覇市議だった翁長雄治氏の後継として山川氏を那覇市議選に出すことが固まっていたからだ。
 C 前豊見城市長の宜保晴毅氏に近いグループが山川氏を担ぎ上げた。自民県連幹事長でもある島袋大氏をターゲットにしていた。市長選のしこりが保守内で残っていた。
 D 与党も山川氏の出馬を取りやめるよう説得したが、本人の意思が固かった。社民が山川氏に乗っかり共産との代理戦争になった。今後の政局に影響しそうだ。

 【沖縄市区】
 A 序盤は公明の支持母体である創価学会が動けず、公明の金城勉氏が当選圏外だった。
 B 桑江朝千夫市長は公明と自民2人の板挟みに遭っていた。桑江市長が前回、花城大輔氏を応援したので、今回は小渡良太郎氏を応援するよう、市議らが求めていた。
 D 桑江市長の動きが鍵だった。緊急事態宣言が解除され創価学会が動けるようになり、桑江市長の後援会が花城氏の支援に回ったことで2議席獲得につながった。

 【宮古島市区】
 E 与党系候補の一本化に時間がかかった。オール沖縄会議の照屋義実共同代表や、にぬふぁぶしの金城徹共同代表が何度も宮古島入りし、一本化を成功させた。
 B 玉城デニー知事も一泊して年明けの市長選を見据えた動きを見せていた。
 C 表面上は一本化しているけれども、出馬を断念した時の現職、支持者の一部は納得していない人もいて、真の意味での一本化できているかは不透明だ。

<座談会出席者>
 吉田健一(キャップ、政治部)▽西銘研志郎(同部)▽池田哲平(経済部)▽阪口彩子(社会部)▽下地美夏子(中部支社報道部)