平良いずみキャスターが上智大生にネット講演 「沖縄の声届けたい」 映画「菜の花の沖縄日記」監督


社会
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ビデオ会議システム「Zoom」を通し、上智大の学生に語り掛ける沖縄テレビの平良いずみキャスター=8日、那覇市の同社

 沖縄テレビの平良いずみキャスターは8日、上智大学が開く講座「ジャーナリズムと現在」で講師を務め、自身が監督したドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」の制作背景を学生に語った。講義はビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用し、学生98人が講演を聴いた。

 「菜の花の沖縄日記」は那覇市のフリースクールに通う石川県出身の少女、坂本菜の花さんが見詰めた沖縄の姿を記録。オスプレイ墜落や辺野古新基地建設について正面から受け止めて考え、言葉をつむぐ坂本さんの姿が印象的な作品だ。

 平良さんは「沖縄県民にとって米軍基地は命に関わる暮らしの問題。メディアの人間として、本土に沖縄の声を届けたかった」と制作の意図を説明した。ドキュメンタリーの手法について「距離は離れていても、そこにいるのは同じ体温を持った人間だと伝わる。自分のこととして思いをはせられる」と語った。

 映画上映後、涙を流す観客を見て「映画には、民意を示しながら何一つ変わらない沖縄の現実がある。見た人が涙を流すのは、現実が変わっていないことの表れだ。やらなければいけないことは山積している」と課題も感じたという。

 学生は受講前に映画の短縮版を視聴し、内容や放映後の反響について平良さんと質疑を交わした。学生は「沖縄のメディアは偏っているという批判は受けないか」「映画を見た人にどういう行動を取ってほしいか」などと質問した。

 平良さんは「沖縄の被害者意識はもうたくさんだという意見がある。真摯(しんし)に受け止めて反省し、模索し、出した答えが少女の目を通すことだった」などと答えた。

 受講者にはメディア志望の学生が多く、平良さんは「『青臭くて何が悪い』という気持ちが大事。若いからこそ書けること、描けることがたくさんある。夢を持ってメディアに入ってほしい」とメッセージを送った。

 「菜の花―」は慰霊の日の23日前後にインターネットで配信する予定という。