県議選ボートマッチ「りゅうVOTE」8日で1万3770人が訪問 


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 琉球新報社と琉球大学工学部の宮田龍太助教との共同研究の一環で実施した県議選ボートマッチ「りゅうVOTE」には、開設した5月31日から投開票日の6月7日までに1万3770人からアクセスがあった。りゅうVOTE利用者に募ったアンケートには12日時点で389人が回答した。

 「りゅうVOTE」は、県議選の立候補者と同じ質問に答えることで利用者と候補者の考えがどの程度似ているのか分かる仕組み。
 利用者アンケートに答えた年代は、最も多かったのが40代で31・3%だった。次いで20代で19・4%、30代が19・2%、50代が17・1%と続き、18~19歳は7・5%だった。選挙時の投票率が比較的低い傾向にある18歳~30代の利用者が全体の46%を占めた。

 「りゅうVOTE」には開設した5月31日以降、1日約千人が訪問し、投開票当日の7日が最も多く1日で5千人以上がページにアクセスした。
 利用者アンケートでは「これまでの選挙であまり意識していなかった点にも気付かされて、候補者をより多角的に見ることができた」「楽しく主体的に投票できた」などの感想が寄せられた。

 

「短時間で情報得られた」 表示、設問に改善要望も  

 「りゅうVOTE」利用者を対象にしたアンケートでは、取り組み自体を「面白い」と評価する声が寄せられた。従来の選挙運動や選挙報道への指摘も上がった。

 10代女性からは「候補者を自分で調べるのは時間がかかるが、りゅうVOTEだと自分の答えを選択していくので選挙に対する敷居が低くなり、投票に行こうという気になれた」と感想を寄せた。県内の大学に通う学生からは「玉城県政の情報が日頃少なく、選ぶことが難しかった」との感想があった。

 20代の男性は「新聞やニュースでは、候補者一人一人の考えを知る事が難しい」と指摘。その上で、りゅうVOTEについて「質問に答えた後、自分の考えに合った候補者を知ることができ、選挙区の他候補者の公約と比較ができるのはとてもいい」とした。40代の女性は「子育てや仕事が忙しく候補者の情報を得る機会を持てない。短時間で調べることができて参考になった」と感想を寄せた。

 一方、表示方法や設問、選択肢の内容について改善を求める声も複数寄せられた。

 

利用した学生は、投票した?

 「りゅうVOTE」を利用した大学生は、実際に投票に行ったのか。投開票前に「りゅうVOTE」を体験してくれた沖縄大学経法商学部の島袋隆志教授のゼミの学生3人に聞いてみた。投票に行きましたか?選挙結果を見た感想は―。

 「りゅうVOTE」利用時に「これまで選挙に関心が持てなかった」と言っていた大学4年の外間安司さん(22)。投開票日当日は用事があったため、期日前に投票をした。外間さんが選んだ人は当選。「自分自身が悩んで投票した人が当選してうれしい限り」と喜びを伝えた。投票所では新型コロナウイルスの感染対策が気になった。「感染リスクがないとは言い切れない。期日前投票がオンラインで可能になれば」

 新垣良友さん(21)も投票に行った。「自分が支持した人が当選してうれしかった。りゅうVOTEを使って選挙を身近に感じた」と感想を寄せた。

 鹿川裕生さん(21)は投開票日に投票に行った。りゅうVOTEを体験した後も、広報紙から各候補の主張を読み取り、投票まで考えたという。鹿川さんが投票した人は落選した。だが、鹿川さんには収穫があった。「一つだけの情報源に頼るのではなく、信ぴょう性のある複数の媒体から情報を得て検討を重ねることの大切さを学んだ。賛成と反対、中立それぞれの立場から意見を取り入れることは、自分の考えを構築する上で必要不可欠だと改めて思った」と話した。