沖縄戦継承に危機感「民間頼み」「継続が大事」「保存だけでなく伝達を」体験者ら座談会


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沖縄戦や平和について語る(左から)石川勇人さん、中山きくさん、高山朝光さん、宜寿次政江さん=16日午前、那覇市泉崎の琉球新報社(喜瀬守昭撮影)

 琉球新報社は16日、沖縄戦から75年に合わせ、沖縄戦の継承や平和教育の在り方について考える座談会を那覇市泉崎の本社で開いた。白梅同窓会会長の中山きくさん(91)、元知事公室長の高山朝光さん(85)、沖縄愛楽園証言集編集事務局で活動した宜寿次政江さん(43)、沖縄国際大4年でピース・ブリッジ代表の石川勇人さん(21)が意見を交わした。

 戦後75年の課題について石川さんは「体験者と継承者で一緒に築き上げる。次の世代へ託すという思いを軸に置かないと(沖縄戦継承は)途絶えてしまう」と危機感を示し、当事者として向き合う必要性を語った。宜寿次さんは沖縄戦継承が「民間の善意に頼っている」と指摘し、行政レベルでの新たな取り組みが必要になると強調した。

 ことしは新型コロナウイルスの影響を受け、各地で慰霊祭、追悼式の規模縮小を余儀なくされた。高山さんは「縮小してもいいから実施していく。継続して発信し続けることが大事だ」と強調した。首里城地下に整備された日本軍第32軍司令部壕について、中山さんは「当時、そこに壕があることを知らなかった。ただ保存するだけでなく、どういう場所か伝えたい」と史実継承の重要性を語った。