「寂しさ、苦しさ一生つきまとう」沖縄戦で両親を亡くした姉妹 家族に祈り 慰霊の日


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刻銘されている父の名を指さす上原陽子さん(右)と中村政子さん=23日午前10時18分、糸満市摩文仁の沖縄師範健児之塔

 「大雨だったけど呼ばれているような気がして」。沖縄戦で沖縄師範学校の教官だった父と母、姉弟を失った上原陽子さん(79)=うるま市=と中村政子さん(78)=北中城村=の姉妹は23日午前、糸満市摩文仁の沖縄師範健児之塔を訪れ、亡き父に祈りをささげた。

 戦争当時3歳だった政子さんは北部に住む母方の祖母宅に疎開し、陽子さんと姉、弟は母と共に那覇市首里から南部へと避難した。逃げる途中で泊まった親戚宅で母と弟と姉が寝ていた離れに爆弾が落ち、3人とも亡くなった。母屋で寝ていた陽子さんは叔父とともに逃げたという。「お母さん、お母さんと叫びながら逃げた」と振り返る。両親の顔も覚えていないという政子さんは「言葉にできない寂しさ、苦しさが一生つきまとう」と声を震わせた。