「線香だけはあげたい」 マラリアで亡くなった弟らしのぶ


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マラリアで亡くなった弟や祖母などを追悼する佐藤和子さん(左)と、見守る家族=23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 毎年、慰霊の日に平和の礎を訪れる佐藤和子さん(88)=那覇市=は今年、新型コロナウイルスの影響で行くかどうか迷ったという。それでも「線香だけはあげたい」と訪れた。
 石垣市出身の佐藤さんは、戦争中は自宅近くに掘った壕に一家で避難していた。壕ではマラリアで弟2人と祖母を亡くした。兄は兵隊で中国へ出征し戦死した。自身もマラリアにかかり、壕の近くに爆弾が落ちたこともあった。佐藤さんは「思い出したくない。もう戦争は嫌だ」と言葉少なに語った。