台湾の蘇澳鎮、石垣市との姉妹都市イベント中止へ 尖閣字名変更が影響


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尖閣諸島

 石垣市が尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更することが姉妹都市との交流にも影響を広げている。石垣市と姉妹都市を締結している台湾・宜蘭県蘇澳(スオウ)鎮は今年、姉妹都市提携から25周年を迎える。李明哲鎮長(首長)は24日までに本紙の取材に応じ「9月~10月末に25周年イベントを計画していたが、石垣市の尖閣字名変更決定でイベント取り消しをせざるを得ない」との考えを明らかにした。

 蘇澳鎮と石垣市はこれまで、教育や特産品など多岐にわたる交流事業を実施してきた。今年の4月には、新型コロナウイルスの感染者が石垣市内で発生した直後に蘇澳鎮は市にマスクや防護服などの医療物資を寄贈した。

 李鎮長は「字名の変更に対して台湾と日本はそれぞれの考え方を持っているが、政治的な立場でこれまで築いてきた両地(蘇澳鎮と石垣市)の関係に悪影響を与えてほしくない」と述べた上で、交流は引き続き継続する意向を示した。

 25周年イベントの取り消しについては「中山義隆市長をイベントに招待する予定だったが、現在蘇澳の漁民たちは字名変更に対し、とても憤慨しているので、今年のイベント開催は適切ではない」との判断を示した。

 石垣市の字名変更に対抗して、宜蘭県政府は、同県議会が可決した「釣魚台」(尖閣諸島の台湾名)から「頭城釣魚台」へ名称変更する議案を22日付で内政部(総務省相当)に提出した。
(呉俐君)