琉球大学病院、3月に初の生体肝移植 年間20人の需要 高槻教授「県内で広げていきたい」


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 琉球大学は24日、同大病院で初となる生体肝移植を今年3月に実施したと発表した。生体肝移植は国内で1万件近く実施されているが、同大では人員や体制が整わず、1990年代後半以降、70人以上の患者が沖縄県外で移植を受けていた。昨年7月、500例以上の手術経験がある高槻光寿教授が着任し、同大病院で生体肝移植を実施できる体制が整った。

 生体肝移植は健康な人の肝臓を患者に移植する手術。今回は原発性胆汁性胆管炎という難治性の病気で肝硬変となった40代女性に、50代の夫が肝臓を提供した。妻は移植後、2週間で肝機能の数値が正常となり、3週間後に退院した。夫は10日後に退院し、社会復帰しているという。

 高槻教授は「移植が必要な患者は増えていて、近年は年間約10人が県外で移植を受けていた。移植手術自体が認識されていないこともあり、潜在的には年間20人くらいの需要がある」と指摘。「保険が適用される治療だが、県外で移植すると経済的負担が大きい。今後は県内で生体肝移植を広げていきたい」と語った。

 生体肝移植は、県立中部病院では数例が行われている。