オーケストラ演奏会でコロナ対策検証 音楽団体有志で活動再開を模索


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
縦横2メートルの距離をとって演奏する琉響と沖響の楽団員。弦楽器と管楽器の間には飛沫を防ぐためアクリル板を設置した=19日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール

 京都フィルオーケストラが13日に全国で初めて観客を迎えての定期公演を開いた。県内音楽団体も新型コロナウイルス感染症対策を講じた上で公演活動を再開するための方策を試し、効果を探る検証を進めている。音楽団体有志らは10日の合唱検証をはじめ、15日には那覇市のパレット市民劇場でロビーの受付検証を、19日には浦添市のアイム・ユニバースてだこホールでオーケストラの演奏検証を行った。

 パレット市民劇場では、座席の間に一定距離を設けるため391席を100席に制限しての再開を模索する。15日には観客の入退場を検証し、約20人が距離を保って並び、スタッフによる検温や連絡先の記入など感染予防策をした際にかかる時間を調べた。入場はおよそ9分で完了したが、本来の観客数で換算すると1時間弱の時間が掛かることが分かった。同劇場の事務局総務の濱田祥子(※注書きあり)は「チケット代金の授受があることもあるのでさらに時間がかかると思う。先に入った観客は待ち時間が長くなるので主催者側の工夫が必要になる」と話した。

観客役と受付役に分かれロビーでの受付の検証を行う音楽団体有志ら。検温や連絡先を記入し、入場時にかかる時間を計った=15日、那覇市のパレット市民劇場

 19日は沖縄交響楽団のコンサートマスターで救急医の林峰栄も参加し、演奏者同士の距離の取り方や飛沫(ひまつ)防止策など医学の視点から分析した。演奏者間の間隔などを変え五つのパターンで演奏し、音の聞こえ方を検証した。

 琉球交響楽団のビオラ奏者・新垣伊津子は「慣れない音の響きだったが練習できれば形にできると思う」と手応えを話した。琉響事務局長の高江洲貴美恵は「9月に定期公演を開催したいが第2波を考えると採算が取れないリスクが高い」と頭を抱える。

 検証を踏まえ、音楽団体有志はガイドライン作りを進めている。新型コロナウイルスの第2波が来ても音楽活動が継続できるよう、より具体的なものにするという。

※注:濱田祥子の「濱」は、右側がウカンムリに「眉」の目が「貝」