米国防権限法案に辺野古軟弱地盤 上地聡氏(県ワシントン事務所長)に聞く 米国内の見方を増やす 上下院議員へ引き続き情報発信


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 名護市辺野古の新基地建設に関し、米連邦議会下院軍事委員会の即応力小委員会が軟弱地盤などへの懸念を盛り込んだ国防権限法案を可決した。実際の法成立につなげるため県はどう米側に働き掛けるのか。上地聡ワシントン事務所長に聞いた。

―法案可決をどう受け止めているか。

 「辺野古新基地建設について具体的に盛り込まれたのは初めてだ。まだ第一段階だが、沖縄にとってはいい知らせだ。法案に盛り込まれたことで、さらに多くの米連邦議員が問題を知り認識を深めたのではないか。今後につながる可能性がある。米議会でも懸念が示された以上、日本国内でも計画見直しにつながることが期待される」

―法案可決に向けてどう取り組んできたか。

 「今年1月と4、5月に新基地建設の技術的な問題点や工事の遅れ、環境への影響をまとめた書簡を、上下両院の軍事委員会に所属する84議員の事務所に送った。興味を持ってもらい『沖縄の事情を知ることができた』など連絡や問い合わせが複数あった。知事の訪米に加え、こうした情報提供が法案の記載につながったと考えている」

―県は軟弱地盤や活断層に力を入れて訴えてきた。狙いや利点は何か。

 「客観的なデータや数字を示すことで説得力が増すと考える。本来は書簡に関心を示した議員を直接訪れたいが、新型コロナウイルスの影響で就任以来、米国に渡ることができていない」

―制約がある中、今後どう米側に働き掛けるか。

 「現在はメールや電話で議員事務所などと情報交換を続けている。米国の現地スタッフも情報を収集している。時差もあり調整が難しく、本来ならば対面で直接話した方がより伝わるだろう。それでも今後どんな情報提供ができるか、辺野古新基地建設問題対策課など本庁とも連携し検討したい。米国で沖縄に関心を持つ『味方』を増やし、ネットワークを広げることが必要だ」

(聞き手 明真南斗)