6月19日に県をまたぐ移動が解除されて2週間が経過した。回復に向けて動き出した観光業界は、休業していたホテルや観光施設が再開し、建設を進めてきた新規施設の開業も相次いでいる。ただ、政府の「Go To キャンペーン」の開始まで国内旅行が控えられており、県民の需要に期待するのが現状だ。週末の稼働率が上昇しているリゾートホテルがある一方で、集客に苦慮するホテルもあり、限られたパイの中で二極化が見られる。東京での新規感染者の増加も懸念材料だ。
■需要の二極化
北谷町美浜で3月に開業したレクー沖縄北谷スパ&リゾートは、新型コロナウイルスの影響を受け厳しいスタートとなった。しかし、6月に入りおきなわ彩発見キャンペーンで県民の利用があるなど週末は満室になる日もあり、稼働率は平均で約50%に持ち直している。恩納村のリゾートホテルでも、週末の客室稼働率が60~70%まで上がる施設もある。
一方、那覇市内のホテルは稼働率が20%前後と厳しい状況が続く。リゾートホテルに比べて県民の利用が少なく、ホテル間の競争の激化から客室単価も下げている。那覇市内のホテル関係者は「安くしてでもお客さんの数を入れないともたない。キャンペーンの恩恵を受けているのは一部の施設だ」と肩を落とす。
新規のホテル建設が進んで客室数がかなり増えているため、県民宿泊だけでは全体の需要を埋められず、やはり国内客の回復が重要となる。
政府は8月末に「Go To キャンペーン」を開始する方針を示しているが、正式な日にちは決定していない。キャンペーン開始前の予約は対象外としていることから県外客の予約の動きが止まっているといい、国際旅行社の與座嘉博社長は「Go To キャンペーンを待つ状態だ」と指摘した。
■新たな出店も
厳しい状況が続く中でも、観光客の回復を見込んで新たな店舗展開を進める企業もある。
首里石鹸は今月1日、那覇市牧志に「国際通りGREEN店」をオープンさせた。17日には国際通り久茂地店を新たに開業予定で、国際通りだけで5店舗を展開することになる。
運営するコーカスの緒方教介社長はコロナ前から国際通りの物件を探していたがなかなか見つからなかった。しかし新型コロナウイルスの影響で状況は一転し、退去物件が出だした。
観光客が激減する中での契約に緒方社長は「先が見えないので悩みに悩んだ」と明かす。だが「国際通りがシャッター通りになってはあまりにもさみしい。少しでも頑張れるなら頑張りたい」と契約に至り、7月開業を決めた。
県境をまたいだ移動の解除後、少しずつ観光も動きだしている。国際通りの店舗の売り上げは前年の50%まで回復しており、7月末には70~80%まで回復すると見込んでいる。 (中村優希、玉城江梨子)