豊かな空想を物語に 南野片吟(みなみのぺんぎん)さん 新報児童文学賞(短編児童小説部門)受賞


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 本を読んだり、物語を考えたりすることが子どもの頃から好きだった。小学生の時に読んだ本で特に印象深いのは、SF作家・小説家の星新一さんの超短編集「星新一ショートショートセレクション」だ。「一つ一つの話に独創的なアイデアがあるところ」が面白く、夢中になった。

 そのうちに、読むだけでなく、自分でも物語を豊かに空想し「思いついた話を形にしたい」との気持ちが強くなった。執筆に使ったのは、自宅にあった家族共用のパソコン。中学生の頃には、自ら書いた小説に漫画が得意な友達が描いた挿絵を付け、同級生にも読んでもらった。高校では文芸部が出す部誌に年に数回、小説を寄稿した。

 大学1年の時に書いた小説「青に揺らぐ」が学生対象の「琉球大学びぶりお文学賞」で佳作になった。その後、九州芸術祭文学賞にも応募し、沖縄地区代表を選ぶ最終選考の候補まで残った。さまざまな文学賞に何度か応募した中で正賞を受賞したのは今回が初。

 受賞作「石敢當と僕」は「話の流れが分かりやすい作品を思いついたので、書きやすかった」と振り返る。小説を書く時には原稿用紙がなかなか埋まらないことも多いという。作品を書いていく前の構想段階で「お話を考えている時が楽しい。『よし、面白い話を思いついたぞ』というところがピーク」と話し「それを作品にするのが大変」と明かす。

 今後、児童文学も純文学も創作していく予定だ。「人物を描くのが苦手なので、生き生きとした人物を描けたらなと思う」と語った。宜野湾市出身の24歳。