米軍のコロナ大量感染「県民に大きな不安」 中部市町村会が防衛局へ防止策要請


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万全な対策を期すよう沖縄防衛局に求める中部市町村会の(左から)野国昌春北谷町長、松川正則宜野湾市長、会長の島袋俊夫うるま市長、當山宏嘉手納町長、新垣邦男北中城村長=16日、嘉手納町の沖縄防衛局

 【中部】在沖米軍基地内で新型コロナウイルス感染者が多数確認されていることを受け、中部地区の10市町村で構成する中部市町村会(会長・島袋俊夫うるま市長)は16日、嘉手納町の沖縄防衛局を訪れ、田中利則局長に対し、徹底した感染拡大防止策を取るよう要請した。

 島袋市長、宜野湾市の松川正則市長、北谷町の野国昌春町長、嘉手納町の當山宏町長、北中城村の新垣邦男村長の5人で訪ねた。

 要請文では「基地内における保健衛生、実効性のある検疫体制の確認ができない状況で発生した今回の大量感染は、県民に大きな不安を与えている」と指摘した。その上で、多数の感染者が出た基地を当面閉鎖することや、部隊展開で沖縄に来る米軍関係者らについて、米軍施設内で一定期間隔離・管理することなどを求めた。

 また、要請文は米軍が北谷町のホテルを借り上げたことについて「米軍施設外の民間ホテルで隔離措置が取られたことは断じて容認できない」と批判した。

 田中局長は「どう抑え込むかが極めて重要だ。県や米軍と連携し、感染拡大が速やかに止まるよう最善を尽くしたい」と答えた。

 面談後、島袋市長は報道陣の取材に「基地内で大量感染が確認されたことは大変残念だ。しっかりとした情報提供や、基地従業員らへのPCR検査の徹底などを求めた」と語った。

 普天間飛行場では16日までに計73人の感染が確認されている。松川市長は「これだけの感染者が出てしまったことは悔しい思いだ。市民が非常に不安がっている」と懸念を示した。

 防衛局に先立ち、一行は那覇市の外務省沖縄事務所を訪れ、川村裕沖縄担当大使にも「諸悪の根源は日米地位協定のさまざまな不備だ。県民はフェンス越しに安心して暮らしていけない」などと抗議し、日米地位協定の改定を求めた。