静かに熱く保護者や仲間も応援 県高校総体は「いつもと違う夏」


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 県高校総合体育大会が18日、開幕した。新型コロナウイルス感染拡大を受け全国大会が中止となり、多くの3年生にとって最後の夏の舞台となる。いつもとは違う特別な思いを胸に熱戦が始まった。感染防止のため観戦も制限される中、会場の内外で、保護者や仲間が静かに熱いエールを送った。

県内の高校スポーツ最大の祭典、県高校総体が開幕。コロナ禍で閑散とした水泳会場=18日午後、那覇市の奥武山公園水泳プール(ジャン松元撮影)

 感染防止のため、開会式などのセレモニーは行われず、屋内競技は無観客試合で実施された。水泳会場の那覇市の奥武山プール。場外には、ひっそりと応援する大城渉さん(43)=名護市=の姿があった。息子の渉星(しょうせい)さん=那覇高1年=に渡す弁当を手に持ち、場外に流れるアナウンスを聞きながら静かにエールを送った。「じかに見たかった」と言うが「姿は見えずとも少しでも力になりたい。そう思い会場まで来た」と話した。

 屋外競技は、制限付きで保護者の入場が許可された。カヌー会場の糸満市の報得川には、玉代勢秀一さん(73)、信子さん(68)が孫の河島飛鳥さん=沖縄水産高1年=を応援しようと西表島から駆け付けた。「大会がなくならずに応援できてよかった」と話し「先輩たちに比べて体力や体格はまだ劣るが、これからどんどん成長していってほしい」と期待を込めた。

 相撲は、屋外に土俵があるうるま市の中部農林高校で開催。同校の小濱寿監督は「開催に踏み切ってくれた高体連に感謝している。いつもの県総体と違って3年生は特別な思いで挑んでいる」と話す。同高3年の仲里智隆さんの母、智恵さん(56)=浦添市=は、息子の取組をフェンス越しに見守った。「3年生で、最初で最後の大会。悔いの残らないように応援した」と愛情のこもった声援を送っていた。

 自転車のトラック競技に出場した首里東3年の國吉優希さんは、昨年11月の九州新人以来の大会に「本気で戦う雰囲気は久しぶりで楽しい」とにっこり。2日目以降の種目で県記録の更新を狙い、全力でのプレーを誓った。