医療関係者が危機感「感染は出る。早期発見が大事」「軽い風邪症状も受診を」


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 「GoToトラベル」キャンペーンが始まる中、県内の感染者が再び増え始めた。経済を動かしながら重症者の発生・増加を抑える“ウィズコロナ”社会が始まる一方、検査態勢はいまだ不十分だ。感染者が出た地域からは不安を訴え、精神的なフォローを求める声も上がった。

 感染者の増加を受けて県内医療関係者は「人が動けば感染も広がる」と冷静に受け止めた。その上で、個人には大規模クラスター(感染者集団)やリスクの高い人への感染を防ぐため手洗いなど感染予防策の徹底、社会としては無症状の感染者も早期に発見して感染を拡大させないための検査の重要性を指摘する声が上がった。

 県立中部病院感染症内科の椎木創一医師は「経済活動や社会活動を復活させれば感染者が出ることは避けられない」と冷静に受け止める。その上で「大切なのは大人数の感染クラスターを起こさない、高齢者や持病のある人にうつさないという二つの目標を明確にすること」と話す。

 感染者が増加したことで行事の中止や移動自粛の検討が始まることも予想される。「人間は古来、感染症と付き合いながら生活を組み立ててきた。ゼロか百かではなく、どうすれば安全に実施できるかを考える時期。折り合いの付け方が試されている」と話し、新型コロナウイルス感染症がある中でよりよく生活する“ウィズコロナ”時代の到来を指摘した。日々の過ごし方では手洗いや3密回避など「分かっていることをしっかり行動することが重要」と強調した。

 23日に発表された感染者には、無症状だが感染者と接触があったため検査を受けた人もいた。群星(むりぶし)沖縄臨床研修センター長の徳田安春医師は、無症状の人から感染が広がる場合があることを問題視し「空港、米軍、市中で検査を増やす必要がある」と強調した。

 陽性者の中には症状が出てから1週間近くたって受診した人もいた。「その間に感染が広がる可能性もある。東京など感染流行地からの来県者も多い状況では、軽くても風邪症状があればコロナを疑うべき」と早期の相談・受診を呼び掛けた。

 観光客や米軍は県民との飲食など濃厚接触の機会が少ない一方「流行地域からの帰省は親族との同居や友人との懇親会など感染リスクが高い」とも指摘。夏休みの感染拡大を抑えるため、検査や追跡・隔離の拡充を訴えた。