女子棒高跳び名嘉眞(糸満)大会新V 県高校総体第5日、陸上ハイライト


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女子棒高跳び決勝 3メートル22の大会新で頂点に輝いた糸満の名嘉眞メグ=23日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(大城直也撮影)

<ヒロイン>楽しみ、さらに高みへ/名嘉眞

 2回目のスタート位置に付き、ポールを立て、バーを見上げた。赤い鉢巻きにはチームテーマの「炎心(エンジン)全快」の文字。女子棒高跳びの名嘉眞メグ(糸満)が大会記録を超える強い決意を抱きながら、冷静に頭の中で反すうする。「飛ぶんじゃない。ポールを目の前に持ってくる意識だ」
 ボックスに差し込んだポールがしなると、反発力で腰がふわっと浮く。ねじった体が大会記録を1センチ上回る3メートル22のバーの上で弧を描いた。「よしっ」。空中で成功を確信した。着地した瞬間は「姿勢があまり良くなかった」と首をかしげたが、家族や仲間から拍手が聞こえると、笑顔が戻った。
 3回目以降は3メートル30に挑み続けたが、いずれも失敗。練習のベストは3メートル40なだけに「まだまだ気持ちの部分が課題。大会記録は更新したけど悔しい」。元々は走り高跳び選手で、棒高跳びを始めたのは昨年5月。ポールを使ってバーを越える感覚が「めっちゃ楽しい」とのめり込んでいるだけに、向上心も強い。
 助走や空中姿勢など課題も多く、まだ伸びしろがある。目標は15年間破られていない県記録の3メートル60。自身の強みを「(競技を)楽しんでいるところ」と評するボールターが、さらなる高みを見据える。 (長嶺真輝)

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<ハイライト>女子ハンマー 相田(那覇西)大会新/50メートル見据え慢心せず

 女子ハンマー投げは、相田真央(那覇西)が大会新の47メートル21を記録し、2位に15メートル以上の差をつけた。優勝と大会新について「うれしい」と喜びつつも「50メートルを投げる予定だったので悔しさが残る」と納得はしていなかった。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で練習が制限された期間は、自宅近くでハンマーを使わずにできるターンの練習などを繰り返した。「自分で理論的に考える時間があったのはよかった」と異例の事態もプラスに捉えた。
 こうした成果も踏まえ、18、19日に開催された沖縄選手権で自己ベストを更新する48メートル29を出したばかり。
 その勢いで臨んだ今大会。ハンマーが低い位置にある状態から力強い回転で加速させていくことを意識したが、思うような動きができなかったという。1投目に優勝記録を投げたあとは伸び悩み「挑戦した投げではなく、ファウルを気にした確実な投げになってしまった」と反省する。
 今後もまだ大会があり、大学でも競技を続ける予定。「次の大会で50メートルを投げることを目標にしたい」と次戦を見据えた。 (古堅一樹)

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自己ベスト、初戴冠/女子400の松原(那覇西)

 ○…鍛え上げてきた序盤の50メートルでスピードに乗ると、先頭で第4コーナーへ。残り80メートル。「負けたくない」「自己ベストを出すんだ」。女子400メートルの松原珠央(那覇西)は最終ストレートを強い決意で腕を振り、トップでゴール。ベストも更新し、初の57秒台。右腕でガッツポーズをすると、笑顔がはじけた。
 3年生にして、初の県大会優勝。1年の時に膝を痛め、2年時には両足首を故障した。それでもトラックに向かい続けた。「お世話になったマネジャーや顧問の先生に恩返しがしたかった」。呼吸を整えながら、はきはきと話した。

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気鋭2年生 男子100V/那覇西 ワォーターズ

 ○…成長著しい2年生が男子100メートルの頂点に立った。スタート時は2~3番手で飛び出したワォーターズ稀杏(那覇西)。180センチの身長を生かした大きなストライドを推進力に80メートル地点でトップに。そのままゴールを駆け抜け、仲間とたたえ合った。
 冬、そして春を越え、一段と強さを増した。昨秋の記録会で出した10秒95から10秒77までベストを更新。長所である「後半の伸び」に加え、「腕を大きく振ることで、足がより前に出るようになる」とスタートダッシュを重点的に鍛えてきた。
 この日は「うまくできた」と満足げ。3年までに県総体の大会記録を超える10秒6以下を目標に掲げ、さらにスピードを磨く。

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400メートルリレー 男女とも那覇西

 ○…400メートルリレーは男女そろって那覇西が優勝した。女子は中部商に勝てないでいたが、今大会は、メンバー全員が「1走から4走までバトンがスムーズに渡り、走りも自己ベストに近いタイムで走れた」と手応えのある走りでチームベストを記録し、雪辱した。
 100メートルとの2冠となった4走の馬場李音は「男女優勝がしたかった。本当にうれしい」と声を弾ませた。
 先にレースを終えた女子も見守る中、男子もトップでゴール。男子アンカーのワォーターズ稀杏と女子アンカーの馬場が笑顔でハイタッチした。男子主将で3走の新崎徳也は「自分たちの代からまた連覇していこうと話していた。チーム力が出た」と喜んだ。

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勝ちきれて良かった

 男子1500メートルで初優勝を飾った上原琉翔(北山)「左膝をけがしてことし初めての公式戦だった。不安はあったけど、800メートルあたりからロングスパートをかけ、残り200メートルで後ろとの距離を確認して勝ちを確認した。勝ちきることができて良かった」

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 (タピック県総ひやごんスタジアム)
 【男子】
▽100メートル (1)ワォーターズ稀杏(那覇西)10秒77(2)仲宗根尚(北山)10秒85(3)長濱瑠希斗(宮古総実)11秒00
▽400メートル (1)神谷歩希(糸満)49秒96(2)名護良拓(球陽)50秒02(3)根路銘志雄(北山)50秒36
▽1500メートル (1)上原琉翔(北山)4分03秒68(2)銘苅春史(那覇西)4分04秒93(3)志良堂清琉(北山)4分05秒55
▽110メートル障害 (1)宜保駆(那覇西)15秒04(2)東江寛太(北山)15秒13(3)知花哲平(中部商)15秒49
▽3000メートル障害 (1)知念凜斗(コザ)9分49秒46(2)宮里洸(北山)9分56秒08(3)瀬底正樹(那覇西)9分57秒02
▽400メートルリレー (1)那覇西(前津智也、宜保、新崎徳也、ワォーターズ)41秒75(2)北山42秒51(3)普天間43秒46
▽走り幅跳び (1)與那嶺諒(普天間)6メートル66(2)下地隆貴(那覇)6メートル43(3)金城奎紀(中部商)6メートル42
▽砲丸投げ (1)山城晃紀(糸満)13メートル58(2)友利健秀(那覇西)12メートル39(3)アルサランシャキル(中部商)12メートル19
▽ハンマー投げ (1)アルサラン59メートル75(2)下門優生(那覇西)42メートル38(3)宜野座康生(中部商)38メートル84
 【女子】
▽100メートル (1)馬場李音(那覇西)11秒99(2)石嶺真鈴(石川)12秒09(3)有銘舞(那覇西)12秒39
▽400メートル (1)松原珠央(那覇西)57秒85(2)仲地アマヤ(中部商)58秒58(3)桃原玲乃(普天間)1分00秒11
▽1500メートル (1)金城野風(北山)4分47秒94(2)具志堅佑奈(糸満)4分51秒86(3)仲愛琳(名護)4分54秒50
▽100メートル障害 (1)渡口舞(普天間)14秒77(2)金城七星(球陽)15秒37(3)仲間乃杏(中部商)15秒38
▽400メートルリレー (1)那覇西(松原、有銘、新垣藍子、馬場)48秒32(2)中部商48秒85(3)石川49秒54
▽走り高跳び (1)別府羽菜(糸満)1メートル59(2)仲間1メートル56(3)比嘉理仁(普天間)1メートル56
▽棒高跳び (1)名嘉眞メグ(糸満)3メートル22=大会新(2)古堅愛理(中部商)2メートル90(3)永吉留依(知念)2メートル60
▽走り幅跳び (1)長嶺真李愛(中部商)5メートル48(2)松原5メートル31(3)渡口5メートル31
▽円盤投げ (1)友利晟弓(那覇西)39メートル47(2)比嘉朋佳(北山)34メートル36(3)相田真央(那覇西)34メートル13
▽ハンマー投げ (1)相田47メートル21=大会新(2)金城天寧(首里)32メートル02(3)外間結希乃(与勝)31メートル14
▽やり投げ (1)津波依吹(知念)35メートル04(2)照屋琴実(北山)33メートル74(3)古堅茉由子(那覇西)33メートル33

女子ハンマー投げ決勝 47メートル21の大会新記録で優勝した那覇西の相田真央(大城直也撮影)
女子400メートル決勝 57秒85のタイムで頂点に輝いた那覇西の松原珠央
男子100メートル決勝 10秒77のタイムで制した那覇西のワォーターズ稀杏
400メートルリレーを制した男女那覇西のメンバー
上原 琉翔