「沖縄県対応、遅すぎる」 観光業界 警戒上げの影響懸念も コロナ感染拡大


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 玉城デニー知事は24日の会見で、新型コロナウイルスの警戒レベルの引き上げを見送る意向を示した。「Go Toトラベル」の開始など人の移動が活発化する中、県内の観光業界も感染拡大への危機感は強い。

 沖縄ツーリストの東良和会長は検査や行動履歴の追跡、感染者の隔離や治療体制の拡充について、行政だけで進めるのではなく、現場をよく知る組織などに委託してスピードを上げるべきだと指摘する。

 東会長は「何事にも時間がかかり過ぎている。Go Toトラベルの時の政府もそうだが、県の判断の遅さも民間の知見を軽視している」と話した。

 県をまたぐ人の移動が活発化する中で、水際対策などの感染対策が追いついていないとの指摘もある。空港ではサーモグラフィーで発熱が検知されても、問診や検査は本人の同意がないと実施できない。実際に問診の協力を断られた事例が出ている。条例を制定したとしても強制力を持たすには限界がある。

 日本旅行業協会沖縄支部の與座嘉博支部長は「今は時代が変わっており、本当は国内線でも国際線の検疫並みに強制力を持ってやるべきだ」と話す。

 米軍も含めて感染者数が増えていることから、旅行の自粛ムードが広まると想定する。

 與座支部長は「この増え方だと経済が回らない。観光業に直接お金が落ちる支援も必要だ」と話した。

 県内での感染者数の増加は、県民が外からウイルスを持ち帰る移入例も多い。「観光客がウイルスを持ち込む」といった偏った認識が広がることを警戒する声もある。

 おきなわワールド文化王国・玉泉洞を運営する南都の大城宗直社長は「あまり歓迎されないと感じている観光客もいるようだ。『観光=悪』になってはいけない。事業者も県民も観光客も、もう一度感染予防に気を引き締めないといけない」と話す。

 南都ではレベルの引き上げに伴い、従業員に対して会食の自粛を要請することを検討している。

 大城社長は「国が出している『新しい旅のエチケット』を何千枚も刷って各地に貼るなど感染対策をキャンペーン的に実施する必要がある」と話した。

 県ホテル協会の平良朝敬会長は「(感染者を受ける)ベッド数をもっと増やしてレベル引き上げの基準を見直すべきだ。感染者が増えるのは分かっている。増えた時にどう対応するかが大事だ」と話す。警戒レベルの引き上げで再び渡航自粛や休業要請が出た場合、閉業する事業者が増えると懸念する。県ホテル協会でも、軽症患者の受け入れが可能な客室数を集計し、県に提出している。