バスケ男子、豊見城が連覇 興南を初めて破る 延長でエース無双 県高校総体


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興南―豊見城 第3Q、ディフェンスを引き付けパスを送る豊見城の渡久地政睦(中央)=24日、沖縄市体育館(大城直也撮影)

 最大10点差を終盤に一気に縮められ、白熱の決勝は延長へ。休憩は2分。「最後までお前がしっかりボールを持ちきれっ」。豊見城ベンチに嘉陽宗紀監督の激が飛ぶ。一進一退の攻防が続いた第4クオーターでパスに逃げる弱気な面が出た3年生エースの渡久地政睦はうなずき、心に決めた。「自分で決めてやる」

 試合再開。初めの攻撃でいきなり中央を個人突破し、レイアップで先行する。さらにはドライブからのアシストやミドルシュートを決め、一気に爆発。「気持ちをリフレッシュできた」。この日40得点を挙げるエースの活躍で、追いすがる興南を突き放した。

 試合終了のブザーが響くと、ベンチが沸いた。ガッツポーズしたり、抱き合ったり、跳びはねたり。昨年までの2年間は県大会で頂点に立ち続けたが、今の代は新人、小橋川杯と続けて興南に敗れ、県大会での優勝はこれが初めて。

 試合後、泣き続ける知念拓己主将は仲間に代わる代わる肩を抱かれていた。「一度も興南に勝てていなかった。最後は絶対勝つという思いで練習してきた。本当にうれしい」。試合中、常に「気持ちで負けたらダメだ」と仲間を鼓舞し続けた主将の顔が、涙でくしゃっとなった。

(長嶺真輝)


◇女子は西原3連覇、組織的守備から速攻重ね

西原―小禄 第3Q、シュートを決める西原の知名梨里亜=24日、沖縄市体育館(大城直也撮影)

 ボール側に背を向けてパスラインをつぶす「ディナイ」でコースを限定させ、ボールが渡ると同時にダブルチームを仕掛ける。ミスを誘発させスチールを奪って何度も速攻で点を重ねた。組織的な守りを徹底したことが、西原が再び女王の座に就く原動力となった。

 「狙え! 狙え!」。試合中、終始西原ベンチから崎浜秀勝監督の指示が響く。ボールを持った選手に前からプレッシャーを掛け続け、パスカットを狙う。同じく激しい守備を持ち味とする小禄も追いすがったが、最後まで積極性を失わず、勝ちきった。

 昨年の全国総体では女子県勢23年ぶりの8強に駒を進めたが、昨秋から新人、小橋川杯と県大会でいずれも優勝には届かず。「自分たちのカラーは守りから攻めにつなげること。練習の8割が守備の練習だった」(榮門楓華主将)と一からチームをつくり上げてきた。

 1年生、中村望愛の加入も攻撃に厚みを加えた。ゴール下やミドルシュートを得意とし、この日チームトップの29得点。「自分で決めていい流れをもってきたかった」と頼もしい。

 チームテーマは、常に前へ進むことを意味する「不断前進」。かみ合い始めた攻守にさらに磨きを掛け、集大成の“冬”へ向かう。

(長嶺真輝)