琉球新報社 
高校野球の2020県夏季大会第9日は26日、準々決勝4試合を2球場で行い、4強が決まった。美里工は沖縄水産に終盤で逆転し、2―1で競り勝った。準決勝は8月1日午前10時からタピックスタジアム名護で行われ、第1試合は日本ウェルネス―八重山、午後0時半開始予定の第2試合はKBC未来―美里工のカードとなる。決勝は2日午後1時から、同球場で行われる。
ファウル2つで追い込まれた3球目。八回表、美里工の上間玲於が体を泳がせながら高めの変化球をレフトに打ち返した。しかし打球に勢いがない。「やばい、上がった」。不安げに見送る打球は左前への適時打となり、満塁機に2人が生還。「決勝点を挙げられてうれしかった」。一塁上でほえた。
沖縄水産の古波藏悠悟を崩せずにいたが、終盤でついに逆転。しかし、ヤマ場はもう一度やってきた。八回から登板した大城稜真が九回に乱れ、2死満塁のピンチ。緊張で足が震える。伝令の仲宗根忠也と内野陣にマウンドで大城が言った。「みんなの力が欲しい」。拳を合わせ、全員で「っしゃあ」と声を上げ、ダイヤモンドに散った。
「パワーがもらえた」と大城。最終打者を三ゴロに仕留め、仲間と抱き合った。八回には自己最速の147キロを記録したが「ストライクが入らないと意味がない」と苦笑い。「みんなが安心できるように投げたい」と成長を誓う。
昨夏は4強で姿を消した美里工。先輩超えに向けて気を引き締める上間は「今日のようにチーム一丸で挑みたい」と力強く語った。
（長嶺真輝）
沖水「一球の重み感じた」
「ワンバウンドでもいい」。八回表2死満塁、沖縄水産の捕手、平良明瑠主将のサインは外角低めのスライダー。しかし2日前に完投した古波藏悠悟の左腕には疲労が蓄積していた。抜けた球は真ん中寄りに入り、打球はレフトへ。左翼手の前にぽとんと落ち逆転を許した。「1球の重みを感じた」と古波藏。悔し涙が止まらなかった。
甲子園大会の中止で一時は団結が弱まったが、試合を重ねるうちにまとまりが出てきた。平良主将は目を赤くして言った。「やってきたことは無駄じゃない。また次に進んでいきたい」
美里工
０００ ０００ ０２０｜２
００１ ０００ ０００｜１
沖縄水産
（美）上間、山城、大城―岡本恭
（沖）古波藏、石川―平良
▽二塁打 松村、内原２（以上沖）
【評】沖縄水産が先発の好投と堅守で１点のリードを守っていたが、八回に美里工が少ない好機をものにして逆転。抑えの大城稜真が２回をゼロに抑え、接戦を制した。
