再生医療拠点、白紙に 豊見城市議会 条例案、3度目の否決


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
臨時議会で条例廃止案について説明する山川仁市長(中央)=27日、豊見城市議会

 【豊見城】豊見城市議会(大城吉徳議長)は27日、臨時議会を開き、沖縄県が豊見城市与根に細胞培養加工施設を建設する場合に必要となる「与根体育施設の設置・管理条例廃止案」を採決し、反対多数(賛成7、反対13、欠席1)で否決した。野党の保和会とZERO、中立の公明党が反対し、与党の共産党と真新会が賛成した。否決を受け県は「残念だ。予算執行の関係で7月より引き延ばすのは難しい。他市町村も含め場所の選定を見直す」と述べた。同施設の与根への建設は事実上白紙となった。

 細胞培養加工施設は、県が2017年から市と協議を進め、再生医療産業の拠点として与根への建設に向け調整してきた。与根の予定地は現在、体育施設(サッカー場)として使用されており、細胞培養加工施設を建設するためには更地にする必要がある。このため市は同条例廃止案を3月、6月の定例会にも提出したが、いずれも否決され、今回で3回目の否決となった。

 条例の採決前に与野党4人ずつが賛成と反対の討論をした。

 与党4人は賛成討論で「市にとって有効な産業だ。県の資料によると、再生医療の国内市場規模は2020年時点で260億円程度で40年には1兆円規模になる。与野党知恵を出して実現したい」と述べた。

 一方、野党4人は反対討論で市からの説明の遅さを指摘し「具体的な議論がなされていない」「道義的説明責任を果たすべきだ」と訴えた。市の説明に具体性がないことについても「中身が詰まっていない」と批判した。

 議会終了後、山川仁市長は「3月と、6月の否決理由を精査して議会に臨んだが否決になり遺憾だ。次期沖縄振興計画でも選定されるよう取り組んでいきたい」と話した。