電気も水道もない山奥のカフェで演奏会 新緑に響くハーモニー


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「Okinawa Rail」で開かれた演奏会の参加者ら=23日、国頭村奥間大保謝原

 【国頭】やんばるの深緑に響くハーモニー―。国頭村と大宜味村にまたがる全長約35キロの大国林道。中間地点にほど近い林道沿いに「BookCafe Okinawa Rail(ブックカフェ オキナワ レイル)」がある。電気や水道などのインフラが届かない山奥のカフェで23日、演奏会が開かれた。ピアノ、胡弓、三線と演奏スタイルはさまざま。木漏れ日が揺れる店内で、参加者らは風や木々が奏でる自然の音に演奏を重ねた。

 国頭村鏡地の山城善勝さん(75)がコロナ禍で沈んだ雰囲気を拭おうと演奏会を計画。友人らがなじみの楽器を持ち寄った。

 南城市から参加した小学校教員の松川博之さん(50)はピアノの弾き語りを披露した。「外出自粛で家族みんなが引きこもりがちになった。きょうは那覇から母も連れてきた。音楽に耳を傾け気分転換してほしい」と話した。松川さんの母ナギ子さん(76)は「澄んだ空気を吸って気持ちがいい。元気が湧いた」と笑顔で手拍子を合わせた。

 演奏会が佳境に入るとカフェオーナーの姉、岩渕そよさん(41)が三線を手に地元で親しまれる「恋し鏡地」を披露。参加者は胡弓やカホンなど、持ち寄った楽器を合わせ店内は大合奏に包まれた。

 岩渕さんは「数年前に内地から帰ってきた。山城さんのような、勝手に店に楽器を持ち込み、演奏を始める愉快で芸達者なウチナーンチュが減り寂しい。今後もやんばるから元気を届けたい」と話した。
 (高辻浩之)