作家ジョン・シロタ氏死去 県系2世、沖縄と日米で揺れる内面描く 92歳


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ジョン・シロタ氏

 米ハワイ州マウイ島生まれで、沖縄県系2世の小説家・劇作家のジョン・シロタさんが28日(現地時間)、米カリフォルニア州で腎不全のため死去した。92歳。自らのルーツである沖縄を題材に、移民や戦争、基地問題を巡る人間模様やアイデンティティーの葛藤などを描いた小説や戯曲を多く残した。

 両親は宜野座村出身。ユタ州のブリガムヤング大学卒業。ハワイに住む県系人たちが真珠湾攻撃に巻き込まれる中で米国、日本、沖縄の間で複雑に絡み合うアイデンティティーを描いた小説「ラッキィ・カム・ハワイ」を1965年に執筆した。同作を戯曲化した作品が90年にジョン・F・ケネディ・センター賞を受けた。2010年12月に浦添市の国立劇場おきなわでも上演された。

 ハワイへ移民した県系人の過酷な生活や、県系青年とハワイ先住民の恋を描いた戯曲「レイラニのハイビスカス」はロサンゼルス、東京、沖縄で上演された。

 05年には琉球大学の客員教授として約半年間、沖縄に滞在した。