高校野球の2020沖縄県夏季大会最終日は2日、名護市のタピックスタジアム名護で決勝を行った。ノーシード同士の対決となった頂上決戦は八重山が4―2でKBC未来を退け、夏の県大会で初の頂点に立った。出だしは八重山の先発、幸喜大雅が毎回走者を出しながらも要所を抑え、スコアボードにゼロを並べた。KBCも一回途中から登板した大城元が相次ぐ守りの失策にも気持ちを切らさず、四回まで被安打ゼロの好投を続けた。五回に長短打4本とスクイズで一挙4点を挙げた八重山が、盤石の継投策で逃げ切った。中止となった夏の選手権沖縄大会の代替として独自開催された今大会では、11日間の期間中、多くの熱戦が繰り広げられた。
直球とスライダーで打たせて取る投球が持ち味の幸喜大雅が中盤まで投げて試合をつくった。1点を奪われた直後の六回から下地寛太郎と大城和哉がリズムを変える1イニング登板でつなぎ、最後はエースの砂川羅杏が力で押し切り締めくくる。八重山の投手陣は理想的な継投を決勝の舞台で完成させ、充実感でいっぱいだった。
「百点満点」(砂川)と自分たちでも褒めた継投プランは準決勝後、4人で話し合って決めたという。準決勝でロングリリーフした砂川の姿に、幸喜は「次は自分」と志願。ほかの3人に異論はなかった。
元々は中継ぎの幸喜。先発は2回戦の沖縄工戦が初めてだった。昨冬に右肘を痛めた砂川の負担を軽減させることと、沖縄工の予想を外す狙いがあった。これが的中し、先発としての結果も残した。本来は先発向きの砂川を救援に置くスタイルを練るなど、大会中にもリレーの形を模索しながらつないできた。
決勝先発の幸喜は毎回走者を出しながらも粘りの投球で5回1失点に抑えた。砂川は「当初は四回の計画。調子が良く変更した。その分、後が楽になった」と感謝した。幸喜も「ホームさえ踏ませなければと仲間を信頼して投げた。安心して3人に託した」と振り返った。4人で被安打12の2失点。相手の好機を断ち切る巧みな継投が勝利を大きく引き寄せた。
(謝花史哲)