<夏季高校野球>KBC、5回守備のほころび、尾を引く 終盤の追い上げも奏功せず


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八重山―KBC未来 9回表2死一、二塁、KBCの中堅・慶田城匠麻からの好返球で二走・砂川羅杏の生還を阻止する喜多慧人(新里圭蔵撮影)

 高校野球の2020沖縄県夏季大会最終日は2日、名護市のタピックスタジアム名護で決勝を行った。ノーシード同士の対決となった頂上決戦は八重山が4―2でKBC未来を退け、夏の県大会で初の頂点に立った。

 公式戦初登板となったKBC未来の「秘蔵っ子」、1年生右腕の大城元が切れのあるカットボールと直球で被安打ゼロの好投を続けていた。

 変わり目となったのは五回。八重山の先頭打者、幸喜大雅の打ち取った当たりは三塁方向へ。ゴロを捕球した玉城舜基の送球は一塁を守る大城純一郎主将の足元へ。ボールがこぼれて無死で走者を出した。

 「ミスは誰にでもある。気持ちを切り替えて投げよう」。自ら気合を入れ直した大城。球の切れは衰えない。しかし、勢いに乗った八重山打線に長短打4本を浴び、4点を奪われた。「いいボールは投げられていたけど、1球だけ高めに浮いた球を打たれてしまった」と相手の勝負強さにのまれた。

 二回には失策が三つあり、合計で4エラー。試合後、神山剛史監督は「エラーが得点につながってしまっているので、それが全て」と敗因を分析。五回の失点が最後まで尾を引き、追い上げはかなわなかった。

 大城主将は「失点は自分のエラーから。迷惑を掛けてしまった」と悔やしい表情。しかし、仲間たちは「大丈夫」と声を掛けてくれた。「最後までこの仲間とプレーできてよかった」。あふれ出る涙を拭いながら、そう言った。
 (長嶺真輝)