間隔空けた座席配置、班ごとに入場 コロナ対策検証のコンサート開催 「久しぶりの生音、しびれた」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
高宮城徹夫の指揮で3曲を演奏した琉球交響楽団。感染防止で団員同士を約2メートルの間隔で配置している=7月26日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール大ホール

 開催が延期となっていた「新型コロナウイルス対策 検証コンサート」(主催・アイム・ユニバースてだこホール、共催・沖縄オペラアカデミー、楽友協会おきなわ、ビューローダンケ、琉球交響楽団)が7月26日、浦添市の同ホールで催された。6月に県内の音楽団体有志がオーケストラ、合唱などの検証を行った。今回は総集編として鑑賞者を入れて、舞台公演の安全な運営方法を検証するために実施した。

 検証コンサートは鑑賞者を県内在住者に限定。往復ハガキで事前の申込制にし、規模を縮小して実施した。入場者には1枚で2人まで入れる整理券を事前に配布し、当日は約130人が訪れた。「3密」を避けるため、事前に指定しておいたグループごとに入場する時間を設定するなど短時間で移動ができるよう工夫されていた。

 出演者には公演時以外はマスクを着用し、検温、鑑賞者との接触機会を極力なくすなど予防対策が講じられた。運営スタッフはフェースシールドや手袋を着用したほか、通常時の約2倍の人数で役割担当にあたり、個人負担を軽減するなどした。ホールの最前列から2列目までの座席の使用を不可とし、間隔を空けた座席配置にした。

 公演はオーケストラ、アンサンブルとバレエ、ピアノ、オペラなど多ジャンルの演目で進行した。出演者数が最も多い琉球交響楽団の演奏では、楽団員同士約2メートルの間隔がとられた。

 平良明子(ピアノ)の演奏で黒島舞季子(ますこ)(ソプラノ)と喜納響(テノール)によるビゼーの歌劇「カルメン」より第4幕「ホセとカルメンの二重唱」では、出演者間のソーシャルディスタンス(距離間)の観点から、一部演出を変更して上演した。

 総務企画チーフの山口将紀は「中止ではなく、規模を縮小して前に進める方向を模索したかった。お客さんが安心して来られるために、ホールが何を準備しないといけないか、検証したい」と話した。

 浦添市から訪れた70代女性は「安全が考慮された環境で安心して楽しめた。久しぶりに生音を聴き、しびれた」と笑顔で話した。

 次回は8月29日、「夏のおんがく自由研究!2020~コロナ大魔王vs琉球交響楽団~」で入場制限を行い開催する。
 (田中芳)