消えたお盆の混雑…風景一変、那覇空港閑散 発着56%減


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
新型コロナウイルスの影響でテナント撤退や休業により閑散とする際内連結ターミナル=14日、那覇空港(大城直也撮影)

 3月26日に待望の第2滑走路が運用を開始した那覇空港。航空機到着や離陸の遅延を繰り返す混雑を解消し、旅行者の受け入れを大きく伸ばすはずだった。大阪航空局によると4~7月の那覇空港発着回数は2万526回で、前年同期の4万6648回と比べて56%の大幅減となっている。13日から県外でお盆の期間に入り、例年ならターミナルは観光客や帰省客らでごった返すが、今年はコロナ禍で風景が一変している。

昨年オープンしたばかりなのに…那覇空港際内連結ビルの7店舗がコロナで撤退 臨時休業も22店舗

 14日午前8時半、空港にはほとんど人がなく、土産品店も開いていない。これまでは多くの店舗で午前7時から営業を始めていたが、時短営業が続いている。店が開き始めるのは午前9~10時ごろだ。

 路線が全て運休した国際線はターミナルビルの閉鎖が続いている。それと比べると国内線はにぎわっているように見えるが、客足は例年よりはるかに少ない。昨年まで大混雑が問題となっていたレンタカーの待合所は、列の一つも見られなかった。

 観光客に人気のポーク卵おにぎりで長蛇の列ができていた「ポーたま那覇空港国内線到着ロビー店」も、売り上げは例年の半分ほどに落ち込んでいるという。空港店の店頭に立っていた清川勝朗社長は「空港もだが、(観光客が減った)北谷や牧志の店舗も厳しい」と表情を曇らせた。

 沖縄に向かう飛行機に搭乗する前にスマホのアプリで注文すれば、到着後に並ばず商品を受け取れる「密」回避のシステムを取り入れるなど、コロナ時代の対応を模索する。清川社長は「とにかく新しいことに挑戦していかないと、今まで通りではいけない」と危機感を強くしている。

 昨年3月に開業したばかりの際内連結ターミナルでは、あるスイーツ店に「長らくのご愛顧、誠にありがとうございました」の貼り紙が貼られていた。テナント撤退のほか、県独自の緊急事態宣言を受けて再び臨時休業に入った店もある。営業を続けている店舗の従業員によると、1日の売り上げが5万円あれば良い方だという。土産品店の女性(36)は「リピーターのお客さんが来てくれるが、厳しい状況は変わらない。周辺店舗がどんどん閉まっていく」と苦境を語る。

 施設を管理・運営する那覇空港ビルディング(NABCO)によるとコロナ前までは空港に出店を望む企業が複数あったが、現在は撤退で空き店舗になった区画を埋めるめどは立っていない。テナントの苦境は家賃収入が頼みのNABCOの経営も直撃する。

 NABCOは売り上げ減少に苦しむ入居テナントや航空会社に対し、4~6月分の賃料を減免。当初は支払い猶予としたが、テナントからの要望を受けて7月初旬に減免にすることを決めた。担当者は「今年度は赤字決算になる」と肩を落とした。(中村優希)