自動車レースのラリー競技でボリビアや南米選手権で優勝するなど、活躍する県系人がいる。ボリビアのサンタクルス市に住む知念ルイスさん(45)だ。前ボリビア沖縄県人会長の知念良信さんのおいっ子にあたる。知念さんはレースを優勝へ導くためのマシン整備や、ドライバーの隣に座ってサポートする「コ・ドライバー」として、国内や南米各国で1年に14ほどの大会に出場している。
2016年のボリビア選手権では優勝を飾り、19年の南米選手権でも頂点に立った。これまで出場したレースで得たトロフィーは優勝カップを含め約80個に及ぶ。
知念さんは「優勝するまでの道のりは長かった」と語る。本格的にレースに興味を持ち始めたのは20歳の時だった。大学で自動車整備を専攻し、23歳から日本で2年間、研修を行った。東京都の専門学校で自動車整備の技術などを1年間学び、残り1年はレース関係の仕事を見つけ、チームでレースに出場した。日本での経験を「日本人の真面目さに慣れるのに時間がかかった。先輩後輩の上下関係が大変だった」と思い出す。
ボリビア帰国後はレースのチームマネジャーを経験し、11年からコ・ドライバーのプロとして歩み出した。「経験のある速い選手とは走らせてもらえなかった。苦労することばかりだった」と振り返る。
「レースが好きで始め、家族を苦労させた時もある。人の信用を積み重ね、トップクラスのドライバーを乗せるまでに5年かかり、16年にやっとボリビア選手権で優勝できた」と達成感をにじませる。優勝した際のドライバーは、当時15歳のマルコ・ブラシアさんで、今年の世界選手権で優勝した世界のトップ選手である。
ボリビアと南米選手権で優勝し、知念さんの次なる夢は「世界選手権」である。「世界選手権は、コ・ドライバーの憧れ。有名になっていいドライバーからオファーをもらって出場したい」と目標を掲げる。
(安里玉元三奈美通信員)