本島北部に行楽客相次ぐ 自粛疲れかマスクつけず 住民「外歩けない」


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閉鎖された駐車場付近に路上駐車する車=18日、恩納村の真栄田岬付近(一部画像を加工しています)

 【本部・恩納】新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う沖縄県の緊急事態宣言が出されている中、本部町備瀬区のフクギ並木や恩納村真栄田岬など本島北部の景勝地には19日までに、県内外からの行楽客が訪れている。マスクを着用しない訪問者もいて、不安視した地元住民は「外を歩けない」と口にした。本来はこの時期は夏休みシーズンでにぎわう。経済的打撃を受ける観光業者からは「自粛ムードが強すぎる」との危機感も聞かれた。

 恩納村の真栄田岬駐車場は15日から閉鎖している。周辺路上には十数台の違法駐車があった。レンタカーや米軍関係者の「Yナンバー」に交じり、レンタカー以外の沖縄ナンバーもあった。水着姿の人々が行き来し、海岸でマリンスポーツを楽しんでいるようだった。愛知県から家族で訪れた30代男性は「コロナ以外にも危険なことはある。コロナが特別危険とは思っていない」と語った。

 岬周辺では以前から違法駐車に悩まされてきた。村が駐車禁止を示したり、石川署が見回りをしたりしている。今回の駐車場封鎖後、以前に増して悪化したという。安冨祖正也区長は「区内の私有地に止める人もいる。マスクを着けない人も多く、区民からは不安も聞こえる」と訴えた。

 本部町備瀬区のフクギ並木に隣接する駐車場でも18日午後、レンタカーなど約20台が駐車していた。観光客は海岸で遊んだり、自転車で並木を通って楽しんだりした。那覇市の男性は「自宅にいるのはつらい。北部なら安全と思って外出した」と「自粛疲れ」をにじませた。

 区内にある「並木レンタサイクル」は、県独自の緊急事態宣言を受けて1日から休業した。県外の観光客から「営業しているのか」など問い合わせが相次ぎ、数日で営業を再開した。利用者数は前年比で約3割という状況が続く。同店の奥原弥生さん(66)は「店を開けないと生活できない。県外から常連客の要望があっては仕方ない」と語った。

 備瀬区は区内放送でマスク着用などを呼び掛ける。区民の一人は「毎日のようにコロナのニュースが流れるのに、なぜマスクを着けないのか不思議でならない。住民のことも考えて」と求めた。(喜屋武研伍、塚崎昇平)