軽症者の療養施設確保へ 沖縄県、本島北部で複数ホテルと交渉 受け入れ「風評被害」が壁


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 【北部】新型コロナウイルスの感染が本島北部で広がっていることを受け、沖縄県は北部で軽症者向け宿泊療養施設の確保を進めている。北部保健所が複数のホテルと交渉している。療養施設が那覇市にしか無いため、やむなく自宅療養を選ぶ軽症者もいる。迅速な宿泊療養施設の確保が求められる一方、ホテル側からは風評被害を心配する声も上がる。

 19日までに名護市と北部保健所管内で感染が確認された42人のうち、入院勧告が解除された人を除く21人が療養中(入院調整中を含む)とみられる。入院中や自宅療養中などの詳報や、地域別の内訳を県は公表していない。

 県が本島で運用する宿泊療養施設は那覇市内のホテル2カ所のみで、北部の軽症者も那覇で療養している。医療関係者によると、家庭内感染を懸念しながらも「家族と離れて一人で療養するのは不安だ」と考え、自宅療養を選択する患者もいる。関係者は「怖いのは自宅療養によって同居の高齢者らが感染し、重症者が増えることだ」と指摘する。

 一方でホテル側も宿泊療養施設として患者を受け入れることに慎重だ。修学旅行など団体客の取り込みを見据えていることが、背景にあるとみられる。あるホテル関係者は「消毒を徹底しても風評被害で客は減る。夏場が厳しかっただけに修学旅行客は逃したくない。(患者の)受け入れは困難だ」と打ち明けた。