石川真生さんに聞く「大琉球写真絵巻パート7」 初の離島撮影「見た人が感じるままに」


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「大琉球写真絵巻2020」に展示する作品内容を紹介する石川真生さん=13日、那覇市泉崎の琉球新報社

 写真家・石川真生さん(67)が年に1度取り組む写真展シリーズのパート7「大琉球写真絵巻2020」が9月1日から同6日まで那覇市久茂地の那覇市民ギャラリーで行われる。シリーズで初めて沖縄島以外の宮古島、石垣島、与那国島で撮影した写真を含むのが特徴。13日、那覇市泉崎の琉球新報社を訪れた石川さんに写真展の内容などを聞いた。

 ―今回は3島で撮影した写真も含んでいる。

 「今まで行く機会がなかったから今回足を運んだ。自衛隊の基地建設に反対する人たちを主に撮った。初めて知ったことも多い。琉球の歴史の中で虐げられてきた島の人々の話も聞き写真に反映させた。首里城炎上に関しても先島の人々は別の思いを持っている」

 ―新型コロナウイルスの感染拡大が撮影に影響したか。

 「昨年の10月から撮影を始め最後の撮影は5月。コロナが本格化する前にほぼ撮影は終えたが終盤は動きづらくなった。島の人々は警戒していて、撮影できなかった人たちもいた」

 ―昨年までは過去の作品も同時に展示していた。

 「スペースの関係もあり、今年はパート7のみ。いつもは1シリーズ22点だが今回は36点。気づいたら22点を撮り終えていたけどとことんまでいこうと。出会いを積み重ねて友達になってから撮影するのが自分のやり方だ」

 ―作品についても聞く。女性がポーズを取っている写真は。

 「このオバーは石垣島の『いのちと暮らしを守るオバーたちの会』代表の山里節子さん。82歳のリーダー。つなぎに『ミサイル』や『基地反対』と書いている。演技をしても歌っても上手だった」

 ―展示会のポスターにもなった写真はアベノマスクが写っている。

 「うるま市の一家4人を撮影した。家族でマスクを作っているところに首相がアベノマスクを持って来る。家族は『いらない』って拒否している」

 ―被写体に演技やポーズをしてもらうのがシリーズの特徴だ。

 「みんな演技の素人だがうまい。最初は『できない』というが『大丈夫だから』って攻めて攻めて、やってもらうとみなできる」

 ―撮影の狙いはあるか。

 「それはない。この人たちを面白いと思って撮影するが、見た人が面白いと感じるかは分からない。撮影したら見せたくなるから見せるだけ。先入観は与えたくない。見た人が感じるままに感じてほしい」

 ―コロナ禍での写真展だ。

 「芸術家にとって作品を作っても発表の場がないことほどきついものはない。今回の展示会では消毒など対策をしっかりとる。うつりたくないしうつしたくない。マスクや検温をして体調をよくして足を運んでほしい」

 (聞き手・宮城久緒)

「大琉球写真絵巻2020」で展示される「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」代表の山里節子さんの写真=石垣島©Mao Ishikawa