津波、最終ジャンプで2位滑り込み 7メートル76「ちょっと悔しい」 セイコーGP陸上


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 陸上のセイコー・ゴールデングランプリは23日、東京・国立競技場で行われ、男子走り幅跳びに出場した津波響樹(那覇西高―東洋大出、大塚製薬)が向かい風0・3メートルで7メートル76を跳び、2位に入った。優勝は7メートル96をマークした橋岡優輝(日大)。男子100メートルは前日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)が向かい風0・2メートルの決勝を10秒14で制した。ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)が0秒02差で2位。多田修平は10秒37の6位、小池祐貴(ともに住友電工)は8位だった。山県亮太(セイコー)は予選敗退。女子の1500メートルでは田中希実(豊田自動織機TC)が4分5秒27の日本新記録を樹立。小林祐梨子が2006年につくった4分7秒86を塗り替えた。

男子走り幅跳び決勝で7メートル76を跳び2位となった津波響樹=23日、東京都の国立競技場(滝本匠撮影)

 最終6回目。スタート位置に付き、手足を振って、一呼吸。スタンドにいるコーチから跳躍前に伝えられた助言を思い返す。「踏み切り前が大股になり過ぎている」。意識したのは「無理に(合わせに)いかず、テンポ良く踏み切るイメージ」。両腕を大きく振り、一気に加速した。

 左足で地面を蹴って宙に舞い、記録はこの日最長の7メートル76。しかし、着地後すぐに距離を確認した津波響樹は渋い表情を浮かべた。踏み切り直前に歩幅を合わせて若干減速し「無理やり感があった」という。

 自己ベストは8メートル23。昨年9月の世界選手権以来となる公式戦で具体的な数字の目標は設定せず、試合感覚を取り戻すことを最優先に跳躍に臨んだが「ちょっと悔しい」と本音も漏らした。

 一方、表情や声色に悲壮感はない。「約11カ月ぶりの大会で一発目からうまくいくわけない。練習も試合もいい動きはできた」と淡々と語る。試合前には久しぶりに会ったライバルと笑顔で話し、選手紹介で名前が呼ばれると会場の大画面でカチャーシーを披露。「楽しくできた」と競技ができる喜びを強く感じている様子だった。

 東京五輪の試合会場となる新国立競技場のフィールドを初めて体感した。「感触をつかむのはちょっと難しかったけど、課題も見えた。来年に向けていい経験になった」。五輪出場、そして表彰台を見据える期待の若手ジャンパーが、1年後の大舞台に向けて本格的な再スタートを切った。